足が不自由でも世界中を駆けめぐる 翻訳で交流

2007/07/15 08:22 JST配信

 グエン・ビック・ランさんはこの17年間、足が不自由でほとんど外に出ることがない。でも彼女は「目と心と頭」を使って世界中を駆けめぐることができる。

 第7学年(日本の中学生に相当)のとき、彼女は病気で2年間の入院生活を余儀なくされた。退院して病状が大分良くなった後も、脚はやせ細り身体も弱りきっていて、希望は何も残っていないかに見えた。

 14歳のとき、ベッドに横になって窓の外を眺めていると、子どもたちが英語の練習をしている声が聞こえてきた。自分もそれにあわせて声を出したりしているうちに、一緒に勉強したいと思うようになる。初めのうちはテキストの例文をじっくり読んだり書いたりして、解らないところがあれば子どもたちに尋ねに行った。そのうち文法についても理解できるようになり、新しい単語も次第に覚えてくる。ネイティブの会話を聞いて発音を練習するために、両親にねだってカセットデッキを買ってもらった。

 それから3年が過ぎ、ランは高校で習うレベルの英語をマスターした。その後、ハノイから知り合いが送ってくれた大学の英文科学生向け教科書に進み、4年間ですべてのカリキュラムを修了。そして2002年、もともと文章が好きだった彼女は英語の技能を活かして翻訳の仕事を始める。インターネットを通じて読んだ海外の作家の文学作品を翻訳する仕事だ。

 オンラインで海外の作家たちと交流する中で、ランは彼らの共感を得ることができた。そのおかげで、彼女はたくさんの海外文学作品の翻訳を任されるようになる。「シャーリー・チェン(Shirley Cheng=生まれつき目の不自由なアメリカの作家)とお話した時は、彼女の才能に感服しました。彼女はさまざまな困難を乗り越えてきた経験を語り合える友でもあります」

 外出は困難なので、行動範囲は郊外にある家の部屋の中。およそ10平米の部屋は、夏の初めともなるとかなり暑い。そんな中、ランは毎日熱心に翻訳に取り組む。「夢中になってやればやるほど、完成した時の喜びは大きいの。インターネット上で作家たちと交流するたびに、世界が広がったように感じるわ」

 「病気のせいで17年間ほとんど自分の家から出ることができなかった。でも、その病気も外の世界に出たいという私の願望と決心をさえぎることはできなかったわ」。ランの挑戦は今も続いている。アメリカの敬愛する作家シャーリー・チェンの翻訳本が出版されたら、彼女は体の不自由な子どもたちのための社会支援センターを訪れて、本を寄贈しようと思っている。

© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 紅河デルタ地方タイビン省ミンタン村に住むグエン・ビック・ランさんは、これまで海外の文学作品16本を...

新着ニュース一覧

 米インターネット通販大手アマゾン(Amazon)は、ベトナムで低軌道衛星インターネットサービスの展開に向...
 5月30日(土)・31日(日)の両日に東京都渋谷区の代々木公園イベント広場で開催される「ベトナムフェステ...
 ベトナム近代絵画のパイオニアとして知られる画家ナム・ソン(Nam Son、本名:グエン・バン・トー)の絹...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 北部紅河デルタ地方ニンビン省のフォンフー寺にあるリエンホア洞窟には、ベトナムで最もユニークな岩壁...
 エンターテインメント施設の運営などを手掛ける韓国のテンCL(TenCL)はこのほど、ホーチミン市にアミュ...
 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線を運行する同市メトロ1号線有限会社(HURC1)は、2025年の業績を発表...
 ホーチミン市民事執行機関は21日、華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の元会長である...
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)系の高
 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の
 ホーチミン市警察出入国管理部(PA08)は21日、ハイテク犯罪の拠点を設ける目的で不法入国・不法滞在して...
 ホーチミン市トゥードゥック街区人民委員会と同市発展研究所(HIDS)はこのほど、第1回「幸福度指数」調...
 ホーチミン市人民委員会はこのほど、同市の市街地と旧カンゾー郡の埋め立て沿岸都市区を結ぶ都市鉄道(...
 ホーチミン市は、東南部地方ドンナイ市に建設中のロンタイン国際空港とホーチミン市を結ぶトゥーティエ...
 レ・ミン・フン首相は20日、ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相と電話会談を行った。両首...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計(推計値)によると、2026年4月の訪日ベトナム人の数は前年同月比+18...
トップページに戻る