|[日] オクラ(秋葵)、オカレンコン(陸蓮根)、アメリカネリ(亜米利加粘材)
[越] Đậu bắp(ダウバップ)、Mướp tây(ムオップタイ)、Bắp còi(バップコイ)
[英] Okra、Ladies' fingers
[学] Abelmoschus esculentus(アオイ科トロロアオイ属)
[原産] アフリカ北東部
[サイズ] 長さ10~20cm|
ベトナムでは通年収穫
日本では夏(7月/8月)が最盛期のオクラ、ベトナムでは通年収穫されている野菜です。但し、2月末から3月に作付けし、 5~9月に収穫 、または7月末から8月末に作付けし、 9月から2月初めに収穫 するのが一般的だそう。
ベトナム語では一般的に「Đậu bắp(ダウバップ)」と呼ばれています。Đậuは「豆」で、マメ科の野菜につける総称。オクラはマメ科ではないですが、豆が目立つので、ベトナムでは豆扱いされているんですね。bắpは「紡錘状の」という意味で、「紡錘形をした豆」という意味。但し、bắpには「トウモロコシ」の意味があり、オクラの実のつき方がトウモロコシに似ているので、そこからこう呼ばれるようになったのかもしれません。
オクラの発祥地はアフリカ北東部のエチオピアあたりが有力で、紀元元年ごろにはエジプトで栽培されていたという歴史の古い野菜ですが、アメリカ大陸を経て日本に入ってきたのは明治になってから。ベトナムへの経路は定かではないですが、Mướp tây(ムオップタイ=西洋ヘチマ)と呼ばれていることから、アメリカから欧州に入ったものが、フランス統治時代にベトナムで栽培されるようになったのではないかと思われます。
ベトナムでは必ず火を通す
ベトナムで出回っているものは、長さが15cm前後、中には20cmあるものもあり、小さな鍋だと丸ごと入らないほどの大きさ。日本のものに比べて緑色がうすく、産毛は生えていません。種も大きいため、日本のように生で食べることはなく、Canh chua(カインチュア)という酸っぱいスープや鍋に入れたり、ヤギの焼肉と一緒に焼いたり、茹でてChao(チャオ=腐乳で作ったタレ)と一緒に食べたりと、必ず火を通して食べます。火を通すと、濃い緑色になります。
(C) Vietjo Life 茹でたオクラ
Bởi Phương Huy (thảo luận) – Tôi sáng tạo ra toàn bộ tác phẩm, Phạm vi công cộng, Liên kết
Canh chua(カインチュア=酸っぱいスープ)に入ったオクラ
(普通はスライスして入れます)
オクラはネバネバが命
最近日本では納豆やナメコなどの「ネバネバ食材」が注目を浴びていて、オクラもその中のひとつです。オクラに含まれているネバネバ成分は、ガラクタン、ペクチンといった水溶性の食物繊維、ムチン、コンドロイチンなど。
水溶性食物繊維には 腸内環境を整え る作用があります。ムチンには、肉や魚の吸収を助け、 粘膜を保護 する働きがあります。ドライアイに困っている人にはうってつけの食材ですね。コンドロイチンは、血中コレステロールや過酸化脂質を除去し、 動脈硬化や高血圧を予防 する効果が期待されます。
そのほか、オクラにはβカロテン、カリウムやカルシウムが豊富に含まれています。
ベトナムのオクラは産毛がないので、洗って丸ごと茹でたり、適当な大きさに切って調理するだけ。ネバネバを逃がさないために、湯がいて食べる際には丸ごと茹でてから切ったほうがいいですね。また、すぐに火が通りますので、1分ほど茹でれば食べられます。オクラの栄養素は熱に強いので、切ってからスープや鍋などで煮込んでも、スープもしっかり飲めば余すことなく栄養を摂取することができます。
新鮮なオクラの選び方と保存方法
選ぶときには、もちろんヘタの切り口がきれいな色で、表面に黒ずみなどないほうがよいのですが、ベトナムでは販売時にネットなどに入れられていないため、傷がついているオクラが多く、どれが新鮮なのかよくわからなかったりします。そういうときは、オクラの先端(とがっている部分)を上にして手につかみ、親指を先端にのせて左右に動かします。弾力がなくて左右に大きく動くものは鮮度が落ちていますが、弾力があってあまり動かないものは、水分がしっかり保たれている新鮮なものだという証拠です。
オクラを保存するときは冷気に弱いので、冷蔵庫の野菜室へ。3~4日ほど保存することができます。キッチンペーパーなど紙で包んでからポリ袋に入れると比較的長持ちします。日持ちしないので、多く買いすぎた場合には、茹でてから丸ごと、あるいは適当な大きさに切って冷凍保存するのが良いでしょう。
家庭菜園でも人気者
オクラは20度以上の気温と日光があれば、比較的簡単に育てることができるため、ベトナムでは家庭菜園で人気の食材で、スーパーで簡単に種を入手できます。中には、市場には出回っていない赤いオクラの種もあります。赤いオクラは茹でると色が抜けてしまうようですが、大きくなりすぎないやわらかいうちに収穫して生で使うと彩りが良いです。
(C) Vietjo Life スーパーで売られている赤いオクラの種
ベトナムの栽培方法だと、種をまく前に、種を一晩ぬるま湯につけておくようです。普通に植えて発芽しない場合は、この方法を試してみてください。栽培時の気温が高いほどたくさん実をつけるようですので、特にベトナム北部や中部の冬に気温が下がる地方にお住まいの方は3月ぐらいに植えて5~9月に収穫できるようにするのが良いでしょう。
花は一日でしおれてしまいますが、かわいらしくて鑑賞用にもいいですね。
| 【ポイント】ベトナムでは一年中食べられるネバネバ食材。ドライアイの人にはとってもお薦め。手軽に家庭で栽培できます。 |