バンレイシ / Na, Mãng cầu

2016/03/10 JST配信

  解説
日本語名 バンレイシ(蕃茘枝)、シャカトウ(釈迦頭)、シュガーアップル、カスタードアップル
ベトナム語名 Na(ナー、北部)、Mãng cầu(マンカウ、南部)、Mãng cầu ta(マンカウター)、Mãng cầu dai(マンカウザイ / マンカウヤイ)、Phan lệ chi(ファンレチー)
英語名 Sugar-apple、Sweetsop
学名 Annona squamosa L.(バンレイシ科)
原産地 西インド諸島、ペルーなど中南米
サイズ 直径10cm前後
 

日本では「お釈迦様の頭」とも呼ばれる果物

日本ではめったに見ることのないバンレイシ。この名は中国語から来た言葉で、漢字で書くと「蕃茘枝」となります。蕃は外国、茘枝はライチの意味で、「外国から来たライチのような果物」ということでこのような名がついたようです。確かに、ライチを拡大すると外見が似ているかもしれません。日本ではシャカトウ(釈迦頭)という名前もよく知られています。これは、お釈迦様の髪型(螺髪)のように表面がでこぼこしていることから名づけられました。

原産地は中南米で、おそらく大航海時代に海のシルクロードを通って中国にもたらされ、ベトナムにもたどり着いたのだと思われます。

通年で市場に出回っていますが、最盛期は8月下旬から9月上旬にかけて。産地として最も有名なのは東北部のランソン省チラン郡。そのほか東南部のバリア・ブンタウ省のものも有名です。

 

北部では「ナー」、南部では「マンカウ」

(c) VIETJO Life, 下の大きなものはトゲバンレイシ

バンレイシは、ベトナムの南部と北部で全く呼び名が違うため、ベトナム人でも間違えてしまうことがあります。 北部では普通「Na(ナー)」と言いますが、南部では「Mãng cầu(マンカウ)」と呼ぶのが一般的。 しかも、南部の人は同じバンレイシ科でバンレイシよりも大きくて表面がトゲトゲしたトゲバンレイシ(上の画像)のことも「Mãng cầu(マンカウ)」と呼ぶので、どちらを指しているのかわからなくなることがしばしばあります。南部では2つを呼び分けたいとき、バンレイシのことを「Mãng cầu ta(マンカウター)」(ta=私たちの)、トゲバンレイシのことを「Mãng cầu xiêm(マンカウシエム)」(xiêm=タイの)と呼びます。

参考: 南北で意味が違う越単語8選 ~ベトナム人でも通じない?~

 

どんな味?

(c) VIETJO Life

実は熟すと、手でも簡単に半分に割ることができます。果肉は白く、黒くて硬い種がたくさん入っています。果肉は熟すとクリーム状ですが、食べると砂糖を噛むようなしゃりしゃりした歯ざわりもあるため、シュガーアップルとも呼ばれています。(完熟するとしゃりしゃりとした歯ざわりがなくなるそうです)。バナナとパイナップルをあわせたような味で、濃厚な甘さとほのかな酸味があり、甘い割には後味がすっきりしています。

 

疲労回復に適した食品

バンレイシにはプロテイン、カルシウム、ビタミンCが多く含まれているほか、疲労回復に重要な役割を果たすビタミンB群が豊富なため、高齢者や病人、出産後の女性などの体力回復に適した食品だといわれています。結構おなかにたまるので、食欲がないときにはゴハン代わりにもできる果物です。

 

食べ頃と食べ方

マンカウは未熟のうちに収穫し、追熟させます。表面を押して弾力が出てきたら食べごろ。熟すと皮の表面が一部黒くなってきますが、中身には影響ありません。熟した実は簡単に手で半分にすることができますし、皮もウロコを取るように手で簡単に取ることができます。

(c) VIETJO Life

皮を剥いて、そのまま噛り付いて食べるのが一般的。 種には毒があります ので、かじらないように気をつけて吐き出します。人をもてなすのには余り適さない果物ですが、人に出すときは、ナイフであらかじめ皮をとって、一口サイズに切って出すと良いでしょう。

 

選び方と保管方法

皮がふっくら膨らんだ感じのものを選びます。熟してくると皮が黒くなってきますので、すぐに食べるのであれば黒いものを選んでも問題ありません。 熟していないものは冷蔵庫に入れず、風通しのよい涼しいところで追熟させます。 完全に熟したら、冷蔵庫で軽く冷やして早めに食べましょう。低温で長時間保管すると、味や食感が悪くなります。

【ポイント】疲労回復に適した果物。熟した後は軽く冷やしてなるべく早く食べましょう。