この度、弊社HRnaviが別事業で手掛けている人材育成に特化した教育コンサルティング企業である、HRIベトナムについてご紹介します。
HRIベトナムは、親会社であるHRIジャパンが長年培った経営ノウハウを活かし、2010年に設立。ベトナム人管理職の主体性を引き出す研修プログラムを提供しています。
人材育成の重要性や企業のビジョン・取り組みをインタビュー形式でご紹介いたします。
Q1.HRIベトナムの会社説明と設立の背景を教えて下さい。
まず、親会社についてですが、1993年に設立された会社で、コンサルティングと人材育成を主な事業としています。もともとはクライアントの商品開発支援からスタートしましたが、その後、ワークアウトやスキルトレーニングに事業を拡大しました。また、この会社は積極的に出版活動も行っており、これまでに120冊の書籍を発行し、累計150万部に達しています。
社会貢献にも非常に力を入れており、その一環として2010年にはベトナムでの社会活動を開始しました。そして同年にHRIベトナムが設立されました。さまざまな紆余曲折を経て、コロナ期間中に日本人経営者から私に引き継がれ、2020年から私が経営を担当しています。
HRIベトナムの特徴としては、30年の実績を持つHRIジャパンの人材育成ノウハウに加え、ベトナム人である私が経営者を務めることで、文化やコミュニケーションのギャップを理解しやすくしている点です。これにより、ベトナムの社員が日系企業や日本のやり方をよりスムーズに理解できるという強みがあります。
Q2.会社のミッション・ビジョンはどういったものですか?
HRグループのミッションは、「主体性を引き出す」ことです。個人の主体性を引き出すのは当然のことですが、ベトナムの状況では、特にベトナム人管理職の主体性を引き出し、自ら会社を成長させて目標を達成することが具体的なミッションとなります。私はこの会社を経営して4年目になりますが、少しずつビジョンが見えてきています。
当社では、会員制の研修プログラムを提供しており、年間24日間、計16科目を各企業の管理職の皆様に提供しています。このプログラムを進めることで、受講生の成長に貢献することができると考えています。最近では、お客様との会話の中で、「社員の成長を実感している」「彼らが力を発揮できるようなビジネスチャンスを作りたい」という声を聞くようになりました。
ベトナム人の成長によって、日本人も成長しなければならないという考え方は、少し逆転の発想かもしれませんが、それが本質だと思います。通常、ビジョンを示して社員を引っ張っていくのが一般的ですが、この場合は、ベトナム人の成長が日本人経営者にも波及し、全員が一体となって会社を成長させていく、そういうビジョンが生まれてきたのです。今後3年から5年の間に、このビジョンをさらに具体的に形にしていける会社になりたいと考えています。
Q3.サービス内容を教えてください。
当社のサービスは主に2つあります。1つ目は会員制の研修プログラムで、年間を通じて24日間、16科目の研修を提供しています。2つ目は企業内研修で、お客様の課題を詳細にヒアリングし、その問題に対して研修を通じた解決策を提案するものです。お客様が納得された場合、専用のプログラムや教材を用意し、お客様のためだけに研修を実施します。
また、相談に対して料金が発生することは基本的にありません。当社の専門知識とこれまでの経験をもとに、迅速かつ簡潔にお答えできるからです。ですので、問題が深刻化してから相談するのではなく、早い段階で「ちょっと困っている」「少し分からない」と感じた時点から気軽にご相談いただくのが良いと思います。そうすることで、当社の助言に従い、お客様自身で解決できることも多く、ほとんどコストをかけずに問題を解消することが可能です。とてもおすすめの方法です。
私たちの業務内容には、特有のポイントとして独自の試験システムの構築があります。このシステムでは、受講生がコース受講後に専用アカウントを提供され、システムとインタラクションできるようになります。 このシステムの特長は、単純に点数を付けるのではなく、正誤判定の形式で評価を行う点です。さらに、AI技術を活用して、受講生が回答を思い出しながら改善し、模範解答に近づけるプロセスをサポートします。トレーナーやコーチが指導するような体験を提供することで、受講生は学習内容を復習し、知識を深め、実践への応用力を向上させることができます。 また、このシステムを通じて、リーダーは受講生の能力に関するレポートを取得可能です。レポートには、知識の習得度、論理的思考力、コミュニケーション能力、実践応用力といった様々な側面が含まれます。
Q4.企業からよく相談を受ける内容にはどんなものがありますか?
よい質問ですね(笑)。あるお客様から、社員はとても真面目で一生懸命仕事をしており、部内では仲が良いのですが、他部署との関係がどうも薄く、部署間の壁を感じるという相談を受けました。この壁を取り除き、より一体感のある組織を作りたいとのことでした。
この相談は、日系企業特有の考え方や日本人のこだわりから生まれたものだと感じています。ベトナムでは、社員が自分の仕事をしっかりこなせばそれで仕事が完結するという意識が強いです。一方で、日本では、担当の範囲を超えて会社全体のことを考え、他の部署をフォローする文化があります。このギャップが問題の背景にあると思います。
この問題は非常に根深く、さまざまな要因が複雑に絡んでいるため、解決には時間がかかるでしょう。日本人が望むような一体感のある組織を作るためには、いくつかの課題を取り除く必要があります。
まず、問題意識の違いです。ベトナムは生活しやすい国で、将来に対する不安が比較的少ないため、危機感が薄い傾向があります。俗に「ヤシの木の下でバナナを食べれば生きていける」とも言われます。次に、問題があっても相談相手を見つけづらく、「誰に相談すれば良いかわからない」という状況が多いです。さらに、自分から相談する習慣が少なく、相手も相談されないため、相手の気持ちを汲み取って対応する意識が薄れがちです。その結果、押し付けがましいコミュニケーションが見られることもあります。
こうしたさまざまな要因を取り除き、必要なスキルを身につけさせなければ、真の一体感とお互いを信頼し合える組織は築けないと考えています。
Q5.お客様の声(評価)はいかがですか?
この点については、2つの評価があるかと思います。1つは日本人のお客様からの評価で、もう1つはベトナム人受講生からの評価です。
日本人のお客様からは、私たちの提案が高く評価されています。理由としては、ベトナムの状況と日本の文化を深く理解しており、さらに私は講師だけでなく経営者でもあるため、経営者視点からお客様のニーズに合った提案を行えていると自負しています。また、各研修後にアンケートを実施し、そのフィードバックをもとに内容を改善しており、満足度は9割以上を維持しています。
一方、ベトナム人受講生も同様に評価が高いですが、彼らは日本人と同じように遠慮深い面がありますので、率直に評価を伝えることが少ないかもしれません(笑)。それでも、研修後には個別にSNSやチャットアプリを通じて無料相談をいただくことが多く、一定の信頼を得ていると感じています。
Q6.最後に、読者の方に伝えたいことをお願いします。
ベトナムにおける社員研修について言えば、日系企業は投資が不足していると言えます。その理由は、人事制度をしっかり構築し、その中に研修・育成を組み込んで、適切に予算化して管理するというレベルのマネジメントが実現できていないからだと思います。日本人経営者自身もその重要性を十分に認識しておらず、一方で任されているベトナム人の人事担当者も、そのような考え方やスキルを持ち合わせていないのが現状です。
制度を構築してから人材育成や投資を進めるのも1つの方法ですが、それと同時に、学習文化を醸成していくことも重要です。そのために、私たちが提供している定額制の研修プログラムは、そうしたニーズに応えるために設計されています。このプログラムを通じて、企業の人材育成を本格的に加速させることができれば、大変嬉しく思います。
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■お問い合わせ先
<HRIベトナム>
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