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建国記念日~ベトナムの9月2日~

2016/09/01 JST配信

9月2日はベトナムの 建国記念日(国慶節) です。1945年9月2日、ホー・チ・ミン主席が「 独立宣言 (Tuyên ngôn độc lập)」 を発表し、ベトナム民主共和国(Việt Nam Dân Chủ Cộng Hòa)が成立。東南アジア初の社会主義国家が誕生しました。

ベトナム語で建国記念日のことをNgày Quốc khánh(ガイコックカイン、国慶の日)と言います。 ベトナムの各祝日 の中で最も重要な祝日に位置づけられています。

(C) VIETJO Life

ベトナム民主共和国建国までの流れ

ベトナムはフランスによって植民地化され、約60年間にわたりフランスの完全支配を受けていましたが、第二次世界大戦中に宗主国フランスがドイツに破れ、フランスに親ナチスのヴィシー政権が誕生すると、ヴィシーと手を結んだ日本が1940年にベトナムへ進駐。 ベトナムはフランスと日本の二重の支配を受けることになります。

フランス軍と日本軍に対抗すべくホー・チ・ミン氏らが結成した ベトナム独立同盟会(Việt Nam Ðộc Lập Ðồng Minh Hội=越南独立同盟会、略称:ベトミン) は、日本と交戦中の米国や中国から支援を受けつつ、仏日両軍を相手にゲリラ戦を展開していきます。

そんな中、1944年10月から翌年5月にかけて、ベトナム北部で大規模な飢饉が発生。40万人から200万人が餓死したとされています。天候不順の凶作に加え、空襲で南北間の輸送が途絶えていたこと、フランス植民地政府や日本軍の食糧挑発などが重なったことが原因。飢饉に対して何の対応も取らなかったフランスと日本に対するベトナムの人々の感情は最悪なものになります。

1945年3月9日、 日本軍はフランス植民地政府を打倒し、ベトナムを完全な支配下に収めます(仏印処理)。 そして、フランスの庇護下で存続していたベトナム王朝の阮朝が日本への協力を約束して、ベトナム帝国を樹立します。

しかし、日本の敗戦がほぼ決定的となると、ホー・チ・ミン氏は8月13日、総蜂起の指令を発出。日本の無条件降伏を受け、ハノイ市でベトミン扇動の大衆デモが起こり、武装蜂起へと発展。 19日にはベトミンがハノイ市にある政府機関の制圧に成功しました。これが、 8月革命 です。この人民蜂起はフエ、サイゴン(現在のホーチミン市)に拡大、8月30日にベトナム最後の皇帝バオダイ(保大帝)が退位します。

そして、 日本政府がポツダム宣言に調印した9月2日、ベトナムではホー・チ・ミン氏がベトナム民主共和国の独立を宣言しました。 ベトナム民主共和国誕生の瞬間です。

(C) NgBK, 独立を宣言するホー・チ・ミン主席

しかし、この僅か1年後にはインドシナ戦争が勃発。南北分断、そしてベトナム戦争と、ベトナムに真の平和が訪れるまでの道のりは遠いものでした。

独立宣言の中には、「日本」がたびたび登場する

ホー・チ・ミン氏が読み上げた 独立宣言 は、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言を引用しながら、世界に向けてベトナムが自由で独立した国となったことを宣言したものですが、それに至る過酷な道のりを述べた文の中には「日本」がたびたび登場します。 「日本のファシストがインドシナを侵略」「フランスは私たちを保護するどころか、5年の間に2回も私たちの国を日本に売った」「私たち民族は、フランスの手からではなく日本の手からベトナムを取り戻した」 ・・・。この独立宣言の内容を、日本人は知っておくべきかもしれません。

独立宣言の全文および日本語訳については、こちらから >> ベトナム独立宣言(和訳付き) ~日本人が知らない歴史~

なぜ、9月2日が選ばれたのか

なぜ9月2日が選ばれたのか、ホー・チ・ミン氏が公に語った記録はないようですが、 ベトナム語版ウィキペディア に掲載されていた内容を紹介します。

8月革命が成功した8月19日以降、ホー・チ・ミン氏らはいつ独立を宣言するかを話し合っていました。8月25日や8月28日といった意見が出る中、9月2日にすべきと提案したのは、ホー・チ・ミン氏専属の医師でカトリック信者だったヴー・ディン・トゥン医師だったそうです。ホー・チ・ミン氏が「なぜ9月2日なのか」と尋ねると、トゥン医師は、9月2日は日曜日で皆が休めるし、その日はベトナムカトリック教会にとって重要な「ベトナム殉教者の祝日」に当たっていて、カトリックの各団体がすべて顔を揃えるため、式典後の会議に参加しやすい、と説明しました。

ホー・チ・ミン氏は8月22日にハノイ大聖堂を訪問。ベトナム殉教者の祝日に向けて準備をしている信者たちの様子を見ながら、「この日にすればさらに意義深くなる」と言ったそうです。そして9月2日、独立宣言が行われました。

建国記念日には何をする?

建国記念日は国の祝日にあたり、国は建国記念日の行事を行い、テレビでは当時の映像や写真が繰り返し放映されます。

一般の人々にとっては、その年最後の祝日になりますので、お休みを最大限楽しむ気持ちが強く、娯楽施設はどこも満員になります。都市部で夜打ち上げられる花火も楽しみの一つです。

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