ベトナムのプロのお仕事を紹介する動画シリーズ「ベトナムの仕事人」。第2弾は「パイナップル売り」です。ベトナムの道端でよく見かける皮を剥いたパイナップル。綺麗ならせん状の模様がついていますが、いったいどうやって切っているの?という疑問にお答えします! また、パイナップルは、日本人にあまり知られていない体によい効能を持つ優良食品。その効果もあわせて紹介します。
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螺旋の模様にはワケがあった
なぜ、ベトナムのパイナップルはみんな螺旋の模様になっているのか、ただ見た目をキレイにするというだけではなかった!
日本とは違って、包丁を手前から向うに動かす様子は、左手をズバッといってしまいそうな気がしてヒヤヒヤしてしまいます。包丁の持ち方を良く見ると、ただ握るのではなく、親指と人差し指で包丁をしっかりささえ、力の入れ加減を調整しているようです。
パイナップルを食べるとオナラが臭くない???
生のパイナップルを食べると、舌にピリピリとした感覚があるのであまり好きではない、という方もいるのではないでしょうか。あのピリピリの正体は ブロメリン(ブロメライン) という強力なタンパク質分解酵素で、この酵素が口内の粘膜を刺激しているのだとか。肉とパイナップルを一緒に調理すると肉が柔らかくなるのは、ブロメリンの働きなのだそうです。
このブロメリンは消化を助ける作用があり、更にパイナップルに含まれる酸味成分クエン酸が胃液の分泌を良くし、胃もたれを防いでくれます。
そして、ブロメリンは腸内の腐敗物を分解する作用もあり、下痢や消化不良、ガスの発生などの症状に効果的です。つまり、 オナラや便の臭いを緩和させる効果 が期待できます。
また、ブロメリンのサプリメントは 花粉症などのアレルギー対策としても使用 されています。ブロメリンが不足しているとタンパク質の消化がうまくできず、未消化のたんぱく質が体内に取り込まれると免疫システムが「外的侵入」と判断して警戒態勢を強めるため、花粉などの本来無害な物質が体内に入ったとき、過剰な免疫反応を引き起こしてしまうのだそう。そのため、ブロメリンの補給が効果的なのだそうです。更に、ブロメリンには、炎症を起こしている箇所の血流を悪くするフィブリンという弾性糸状たんぱく質を分解して血流を良くし、炎症を緩和させる作用もあります。
但し、ブロメリンは60度以上の熱が加わると酵素作用がなくなってしまうので、熱処理された缶詰のパイナップルでは効果がありません。また、日本ではパイナップルの芯をくり抜いて食べることが多いですが、ブロメリンは芯の部分に豊富に含まれています。パイナップルは、生で丸ごと食べるのが良いようです。生のまま食べるのが苦手な方は、フレッシュジュースで飲むといいですよ。日本でよく出回っている濃縮還元ジュースのものとは違い、フレッシュなパイナップルジュースはくどさがあまりなく、意外にもさっぱりとした飲み口です。
パイナップルのベトナム語名はたくさんある
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ちなみに、パイナップルのベトナム語名は地方によって異なります。北部では「quả dứa(クアズア)」または「trái dứa(チャイズア)」、中部から南部では「trái thơm(チャイトーム)」、メコンデルタ地方では「trái khóm(チャイコーム)」と呼ばれています(quảとtráiは果物につける類別詞)。また、パイナップル誕生の昔話の主人公の名前を取って「trái Huyền Nương(チャイ フイエンヌオン)」と呼ばれることも。この昔話はまた別の機会に紹介したいと思います。
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