ホーチミン市では10か所以上で花市が開催されていますが、中でも大規模な1区の 9月23日公園 の花市を紹介します。
菊のじゅうたんが美しい
南部は比較的涼しい季節とはいえ、日中の日差しが厳しいので、人出が増えるのは日が落ちてからの時間帯。
(C) NgBK
ところ狭しと鉢植えが出されています。最近はスプレーバラなど、南部の暑い気候の中では育たないような花も売られるようになりました。
(C) VIETJO Life
まるでじゅうたんのように敷き詰められた菊の鉢植え。きれいですね。どの家庭でも必ず飾るのは、黄色い菊の花です。家の入り口に対になるように飾るのが一般的。ベトナム語で菊の花のことを「Hoa cúc(ホアクック)」と言います。cúcは漢字の「菊」にあたります。
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こちらは丸く仕上げられた菊。かわいらしいですね。
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おそらく日本で「手毬菊」と呼ばれる種類だと思いますが、最近はこれが人気のようです。オレンジ色のものも売られています。
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人の肩の高さぐらいまである大きな菊もあります。こちらはお屋敷向きですね。
北はテトは桃の花、南のテトは梅の花
テトの花といえば、北部は桃の花 hoa đào(ホアダオ)、南部は梅の花 hoa mai(ホアマイ)。但し、南部では梅は育たず、 ミッキーマウスの木 の黄色い花を黄梅と呼んでいます。
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中国の旧正月でも桃の花は欠かせないものになっており、ベトナムの北部でも新春の訪れを知らせる花です。以前南部では殆ど見かけることがありませんでしたが、交通機関の発達やお金持ちが増えたことで、花市でたくさん並ぶようになりました。購入する人は殆ど北部出身のお金持ちの人。購入するとお店の人がトラックで配達してくれますが、花市が正式に開く前日の空いている時に自家用車で乗り付けて、トランクに桃の木を乗せて帰る人を何人か目撃しました。
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縁起の良いたくさんつぼみのついたものを選びます。
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中部では、雨が降らなくなり旧正月が近づいてくると、各家の庭先でホアマイがほころびはじめます。南部でホアマイは普通乾季に入った11月~12月頃に咲き始めてしまうため、咲く時期を調整しなければなりません。
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5弁の花びらがちょうど黄梅に見えることからこの花をホアマイと呼ぶようになったのではないかと思います。小さな盆栽仕立てにしたものも売られていて、桃に比べて安いですし、北部から運んできた桃とは違ってその後も育てて楽しむことができます。
テトを祝うのにふさわしい鉢植え
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テトを象徴する伝統的な鉢植えの一つは、このキンカンの木です。ベトナム語でKim quất(キムクアット=金橘)と言います。金色の実がたくさんつくことから、特に商売繁盛や金運を高めるのに縁起のよい植物とされています。形よく刈り込まれてたくさんの実がきれいについている場合は、実を接着剤で貼り付けていることがあるので、注意しましょう。
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ケイトウ(左)も鮮やかな赤色が縁起が良い植物です。ベトナム語ではhoa mào gà(ホアマオガー)と言うのですが、mào gàはニワトリのトサカ、つまり鶏頭のことです。そして、実が付いた部分をうまく切り詰めて鉢植えにした Thang Long(ドラゴンフルーツ) も人気です。「Thang Long=青龍」という意味であることや実の赤色が縁起が良いとされています。
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最近は、菊と一緒に同じ黄色のヒマワリを置く家が増えています。南部は年中暑いですが、実はホーチミン市でヒマワリを庭先に植えているような家を見ることは殆どありませんし、ヒマワリ畑も見かけません。ヒマワリで新年の訪れを知るなんて、日本人にとっては不思議な感覚です。
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これも最近の流行でしょうか。稲を鉢植えにしたものです。お米の国らしくてとてもステキだと思ったのですが、実際に飾っているのはまだ見たことはありません。
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ブーゲンビリアの鉢植えもよく見かけます。南部では乾季の今が最もブーゲンビリアが美しい季節です。紫がかった濃いピンクのものが主流ですが、白のほか、オレンジ色のものもあります。花びら(正式には葉)が八重になったものもあります。ブーゲンビリアのことをベトナム語でhoa giấy(ホアザイ/ホアヤイ)と言います。「紙の花」という意味です。確かに花びらが紙っぽい!
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ブーゲンビリアを立派な盆栽にしたものもありました。これは美しいですね。
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盆栽といえばたくさん売られているのがこちら。ベトナム語はMai chiếu thủy(マイチエウトゥイ=梅照水)、中国では「水梅」と呼ばれているようです。和名はオマツリライトノキといわれているのですが、ウォータージャスミンの名前のほうが通じるかもしれません。ジャスミンのような強い香りがあります。幸せを運ぶ木と言われていて、これも縁起がよいです。小さいものなら1000円もしない値段で買えます。
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こちらのhoa sứ (ホアスー)またはhoa đại(ホアダイ)と呼ばれる鉢植えも昔から人気があります。日本では一般的にプルメリアと呼ばれているようです。枝を詰めていくこと幹が独特の形に膨らんでいき、見るからに福々しい感じ。家で育てている人が多いです。
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不思議な形の実がなっているこの植物はブシュカン(仏手柑)と呼ばれる柑橘系の果物です。ベトナム語ではphật thủ(ファットゥー=仏手)と呼ばれています。北部のテトを象徴する果物で、南部ではあまり見かけることはありません。
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なぜ「仏手」なのかというと、仏様が手を合わせたような形の実だからとのこと。果肉は殆どなく、柑橘系果物の白いワタがぎっちり詰まったような実で、砂糖煮にして食べることが多いそうです。
<おまけ>
お金持ちになりたい!という願いの強い人には、こちらがおススメかもしれません。
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コンセントを入れると光ります。ご利益ありそう。生きた植物は手入れが大変という人には本物そっくりの造花もたくさんありますよ。
植物好きの人であれば、何時間でも時間がつぶせてしまう花市。流行り廃れや新商品の登場があって、毎年通っても面白いです。9月23日公園のほかには、 ザーディン公園(ゴーバップ区) レバンタム公園(1区) の花市が有名です。各所で花市が開催されていますので、ご近所を散歩がてら覗いてみてはいかがでしょうか。なお、人ごみはスリが多いですので、貴重品はなるべく持たずにお出かけください。
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