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フォーだけじゃない!米麺5選~ベトナム各地で麺も色々~

2015/06/05 JST配信

ベトナムは知る人ぞ知る麺大国! 日本では米麺フォーが有名ですが、それ以外にもたくさんの種類の麺が存在します。今回は、編集部がおススメするフォー以外のベトナム麺を5つ紹介します。

ハノイの麺「ブンチャーハノイ」

(C) NgBK

ハノイを代表する麺といえば 牛肉のフォー がありますが、ベトナム人がハノイの麺としてイメージするとき、もしかしたら ブンチャーハノイ(Bún chả Hà Nội) を思い浮かべる人のほうが多いかもしれません。

Búnは、ベトナム全国で最も食べられている米麺。米を水とともに粉砕して乳白色の液状にした後、余分な水を抜いてどろどろの状態にし、それを底に沢山の細かい穴の開いた容器に入れて押し出して、容器の下で待ち構える沸騰した湯で茹でて作ったものです。

ブンチャーハノイは、この麺を汁に付けて食べる、ベトナムでは珍しいつけ麺料理。炭火であぶり焼きにした豚バラ薄切り肉や豚肉のつくね(chả)、野菜と一緒に頂きます。つけ汁は、お酢とヌォックマム、砂糖が入った甘酸っぱい味付け。人参や大根の歯ごたえがとても良いアクセントに。香りの良いお肉に、つるつるとした麺の喉越し。暑いうだるような日でもこれならお肉が沢山食べられます。

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ホーチミンでも最近、ブンチャーハノイのお店が続々と増えています。ハノイとホーチミンではちょっと食べ方が違っていて、ハノイでは大き目のどんぶりに入った漬け汁にそのまま麺を付けて食べますが、ホーチミンでは別途小さな茶碗が出てきて、そこに麺、肉、野菜を入れて上から汁をかけて食べるスタイルです。

ハノイ市でブンチャーを食べるならここ! >> ダッキム(Đắc Kim)

南部の麺「フーティエウナムヴァン」

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ホーチミン市在住の筆者が最も頻繁に食べるのはこの フーティエウナムヴァン(Hủ tiếu Nam Vang) です。フーティエウ(南部ではフーティウ[Hủ tíu]とも)は、中国から「粿條(クェティオ)」と呼ばれる蒸した幅広の米麺がベトナムに伝わったもので、今もベトナムで「中国人の麺」として食べられていますが、それはカンボジアに入って「クイティウ」という麺料理になり、更にそれがベトナムに逆輸入されて、「フーティエウナムヴァン」へと変化しました。ベトナムではかつてプノンペンのことをNam Vang(南旺)と呼んでいたので、中国から直接伝わったフーティエウと区別するために、フーティエウナムヴァンと呼んでいます。

中国から伝わったフーティウは、米粉液を薄く丸く延ばして蒸した生地を麺状にカットしたものですが、カンボジアから伝わったフーティエウナムヴァンの麺は生地を乾燥させた後に細く切った乾麺なので、少しコシがあります。麺の上には豚肉、豚レバー、ウズラの卵、海老などを載せ、ひき肉でとったあっさり味のスープをかけます。ニンニクがたっぷり入っていて、香りをかぐだけでパワーが出そう。さらにお好みで、チャイニーズセロリやレタス、モヤシなどを入れて食べます。ボリュームと栄養満点で、パンチのあるおいしさです。

中部の麺「ミークアン」

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中部のダナン市、クアンナム省の名物麺料理として知られる ミークアン(Mì Quảng) の麺は、水と一緒に細かく粉砕した米の汁を、クレープ状に蒸し上げ、それを日本のきし麺ほどの幅に切ったもの。フォーより厚みがあり、噛み応えはきしめんに似ています。麺の色は白いもののほかに黄色いものがありますが、これはターメリックで色づけしたもの。時々見かける赤っぽい色の麺は、玄米を使って作ったものです。よく「汁なし麺」と紹介されますが、汁たっぷりの具材を使うため、丼半分ほどの汁が入っており、食べる感覚は汁麺に近いと思います。

ダナンでは、市場で麺だけを買ってきて、各家庭で具材や味付けを好きなようにアレンジします。そのため、外で食べてもお店ごとに違うミークアンを味わうことができます。主な具材は豚肉や海老、鶏肉など。素材からとった出汁の効いた汁に、ピーナッツの香ばしさと、割って入れるゴマせんべいのぱりぱりした歯ざわり、しっかりした太い麺がとってもマッチして、おいしいですよ。ホーチミンの人たちの間でミークアン人気が高まっていて、最近はホーチミン市内でもミークアンを食べられるお店が急激に増えています。

なお、普通ベトナム語で「Mì」というと小麦粉で作った麺のことを指します。ミークアンの場合は、米粉のふにゃふにゃした麺ではなく、きしめんやうどんのような小麦粉から作った麺に近いことから「Mì」と称されたようです。

 >> ミークアンのおいしい店3選~ホーチミン市で中部麺~

ホイアンの麺「カオラウ」

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カオラウ(Cao lầu)はホイアン特産の麺料理。かつて朱印船貿易が栄えた時代に日本人町が形成されたこの場所で日本人が伝えた伊勢うどんがルーツと言われています。カオラウの麺は米から作られたとは思えないコシがあり、まさに日本のうどん風。ベトナムの人はミークアンと同じくカオラウの麺のことを「Mì」と呼びます。

製麺の秘訣は、ホイアンにある「バーレー(Bá Lễ)」という井戸の水。この水にはラーメンを作るときに使われるミョウバン(かんすい)が含まれていて、これが麺にコシを与えてくれます。カオラウの麺が黄色っぽいものこのミョウバンの作用によるものだそうです。

ミークアンとカオラウは食べ方がちょっと似ているのですが、カオラウのほうは器の中に入っている濃い醤油味のたれと絡ませて食べます。なるほど、この辺は伊勢うどん風ですね。具材は刻んだ豚肉などで、一緒に載せられたおせんべいがとても良いアクセントに。味は和風とはいきませんが、ほっとするおいしさです。どこでも食べられる麺ではありませんので、ホイアンにお越しの際にはぜひお試しください。

フエの麺「ブンボーフエ」

(C) VIETJO Life

かつて都だったフエは宮廷料理が栄えたこともあり、フエの料理はベトナム人にとって「おいしい」というイメージがあるようです。中でも、全国各地で最も食べられているフエ料理はこの Bún bò Huế(ブンボーフエ) ではないでしょうか。Búnはブンチャーハノイのところで紹介したとおりの米麺ですが、極太スパゲティーを更にひとまわり太くしたぐらいの麺で、口にツルンと吸い込まれるつるつる麺です。Bòは牛のことです。

スープは、牛コツや豚足、牛肉などからダシをとり、レモングラスで香りを付け、フエ特産のアミ発酵調味料「Mắm ruốc Huế(マムルオックフエ)」で味付けしたコクのあるしっかりした味。麺の上には牛肉や豚足、ツミレなどが載っています。本場フエで食べるブンボーフエは最初からかなり辛い味付けがされている上、更に唐辛子を加えて食べるのですが、他の地域では余り辛くない状態で出され、自分で辛さを調整するスタイルです。おいしいお店で食べると、牛骨などの臭みが一切なく、コクがあるのにさっぱりした味でとてもおいしいです。

ちなみに、本場フエでは、昔は太いブンを使っていたのですが、細いブンのほうが様々な料理に使われているため、わざわざ太いブンを用意するのは非効率、ということで、ブンボーフエにも細い麺が使われるようになったそうですが、ホーチミンではブンボーフエといえば太い麺しかありません。オールドスタイルが本場以外の場所で残っているのが面白いですね。

今回紹介した以外にも、ベトナムにはまだまだおいしい麺がたくさんあります。第2弾では米麺以外の面も紹介したいと思いますので、お楽しみに!

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