|[日] モモイロノウゼン(桃色凌霄花)、ピンクテコマ、キダチベニノウゼン、ピンクプイ
[越] Kèn hồng(ケンホン)、Phấn hồng(ファンホン)
[英] Pink poui、Rosy trumpet tree、Pink trumpet tree
[学] Tabebuia rosea(ノウゼンカズラ科)
[原産] 南メキシコからベネズエラ、アクアドルの南米北部
[分布] 平均気温が20~30℃、年間降水量が500mmを超える地域
[ベトナム国内分布] 主に中部から南部
[開花時期] 3下旬~5月|
べトナム南部では憧れの「春」を象徴する花
日本でも沖縄で見ることのできる南国の花。原産地は南米で、ベトナムには元々なかった花ですが、近年南部ではきれいな花を咲かせるこの木を街路樹として植えるようになりました。そのため、特に新しく整備された道路でよく見かけます。サイゴンでの 開花時期は3月下旬から4月下旬ごろ 。淡いピンク色の花が桜にとても似ていること、ちょうど日本の桜の開花時期と重なることから、サイゴンの人たちにとって「桜の国」の春に思いをはせる花になっています。
(C) Vietjo Life, 2018年4月9日ホーチミン市1区Vo Van Kiet通りで撮影
ただし、サイゴンではなぜか花が一斉に咲きそろわず、木ごとに開花がまちまちなので、なかなか見ごたえのある景色にならないのですが、メコンデルタ地方 ソクチャン省 にはモモイロノウゼン並木があり、そこはそろって一斉に咲くので、インスタ映えを狙う人たちの絶好の撮影スポットになっています。
このモモイロノウゼン並木はソクチャン省チャウタイン郡フンブオン通り(đường Hùng Vương huyện châu thành tỉnh Sóc Trăng)にあります。サイゴンより開花が若干遅いのか、2018年は4月15日ぐらいに見ごろとなったようです。満開から3~4日で花が散ってしまうベトナムのはかない花。この時期ソクチャン省へお出かけの方はぜひ足を運んでください。
なお、国によって開花時期が違うようですが、どこでもだいたい乾季に咲くそう。日本では沖縄などで見ることができますが、開花時期は6~8月となっています。
(C) Vietjo Life
モモイロノウゼンの特徴
モモイロノウゼンの木の高さは3~15m、幹の周りが50cmほどですが、大きいものでは高さ30m、幹周りが1mに達するものもあるとのこと。花はトランペットのような花弁をしていることから、英語でピンクトランペットツリーと呼ばれています。ベトナム語でも Kèn hồng(ケンホン) =「ピンクのラッパ」 と呼ばれています。
(C) Vietjo Life, 落下した花びら
ベトナム語のもうひとつの名前はPhấn hồng(ファンホン) と言いますが、Phấnは「おしろい」のこと。Hoa phấn(ホアファン)だと和名でオシロイバナの意味なのですが、オシロイバナと同じようなラッパの形でピンク色(hồng)なので、こう呼ばれているようです。薄桃色の花びらがくちゃくちゃっとした印象で、中央部の筒の中は黄色くなっています。4~7の花がくっついて咲くので、立派に咲いた花は丸いピンクのボールがたくさんついているように見えます。
Bởi Forest & Kim Starr, CC BY 3.0, Liên kết
花が落ちたあとには、写真のような鞘ができてきます。35cmぐらいの長さまで成長し、表面が黒く乾いてくると、鞘がはじけて中から羽がついた種が飛び出してきます。
By @rawjeev / Rawlife / Rajeev B - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
モモイロノウゼンが子宮ガンに効く?!
モモイロノウゼンの樹皮は薬として使われているそうで、寄生虫やマラリア、さらには子宮ガンに効果があるという記述が英語版 ウィキペディア にあります。さらに、花や葉、根には解熱や鎮痛、発汗、のどの痛みなどに効果があるのだそうです。ただし、ベトナムで薬として使われているという話はいまのところ聞いたことがありません。
(C) Vietjo Life
ベトナム南部では、モモイロノウゼンの開花時期が酷暑と重なりますが、薄紅色の花びらを見て日本の春を思い出すと、少しは涼しく感じるかも。ダラットなどの中部高原でこの花をみると、気候的にちょうど日本の春気分を味わえそうです。