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「やけど虫」に注意!~虫の体液で重度の炎症~

2016/10/07 JST配信

ベトナムで特に9月前後に増えるのが 「やけど虫」による被害。 「やけど虫」の正式名称は アオバアリガタハネカクシ 、ベトナム語ではKiến ba khoang(キエンバーコアン、胴が3つに分かれたアリ)と呼ばれています。南米アメリカ大陸を除き、 ベトナム、日本を含めた世界各国に生息しています。

(C) entomart

上の画像だと大きな虫かと思ってしまいますが、 体長は6~7mm程度 しかありません。また、胴体や首が赤く見えますが、実際に見るとくすんだ黄色といった感じ。遠目で見た場合は全体的に黒っぽく見えるので、「大きくて細長いアリの一種かな」と思ってしまいます。

お尻部分がとがって上を向いているのが特徴ですが、刺すことはありません。アリに似ていますが、ベトナムのアリのように噛んだりすることもありません。でも、 虫の体液に触れると大変なことになる ので、十分注意が必要です!

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「やけど虫」によって引き起こされる症状は?

やけど虫(卵、幼虫、蛹も含む)の体液には「ペデリン」という毒があり、これに触れると2時間ほどしてから 赤く腫れ上がり、水泡ができます。 最初はかゆみがあり、その後 火傷を負ったようなヒリヒリとした痛み が続きます。そのためこの虫を「やけど虫」と呼ぶのです。虫を潰した際に出てきた体液だけでなく、虫が分泌する体液にも毒が含まれているため、虫に触れただけで症状が出る場合もあるそうです。

触れてすぐ症状が出ないため、昔の人は家を徘徊するヤモリの尿が知らない間に付いてしまったのが原因と思い込み、このミミズ腫れを「ヤモリのしょんべん」と呼んでいたとか。

症状が治るまでには10日間から2週間ほどかかるといわれていますが、人によっては治ったと思っても何度もぶり返して、1年近く煩わされることもあるようです。

やけど虫による炎症の写真は コチラ を参照。

やけど虫はどこにいるの?

日本でやけど虫が発生するのは4~10月ですが、 ベトナムでは通年で発生します。 ベトナムでやけど虫の被害が最も多く報告されるのは9月前後 のようです。

やけど虫が生息している場所は、水田や畑、池や沼、川岸など 湿気の多い草地 です。近年開発が急速に進んでいるベトナムでは、周辺が草地に囲まれた場所にマンションや住宅街ができるケースが多いため、特に都市部の郊外地域で被害に遭うケースが多いようです。

やけど虫の成虫は、一見羽根がないように見えますが、「ハネカクシ」という名のとおり隠れた羽根があり、薄い透明の羽根を広げてよく飛びます。夜になると 蛍光灯や水銀灯の明かりに誘われ て、家の中に入ってきます。冷房があれば窓を閉め切った生活もできますが、いつも締め切っているというわけにはいきませんよね・・・。

やけど虫の侵入を防ぐには?

やけど虫が飛来しやすい草地の近くに住んでいる場合は、家の電気を蛍光灯ではなく LED照明にすると虫が寄り付きにくい ようです。また、可能であればベランダなどに 誘蛾灯 を設置することで、虫が屋内まで入ってくるのを防ぐことができます。

また、ベトナムでも 網戸 (của lưới chống muỗi、クアルオイチョンムオイ)を手に入れることができますので、虫の侵入が多い家では設置するのが効果的でしょう。原則オーダーメイドなので、たいていの窓に取り付けられます。アコーデオンタイプやロールアップ式など邪魔にならないタイプもあります。

ヤモリ防止にもなります

ちなみに、毒があるやけど虫の天敵はいないと考えられおり、ヤモリに退治してもらうことはできません・・・。

万が一家の中でやけど虫を発見したら、すぐに 殺虫剤 で駆除してしてしまうのが良いでしょう。玄関や窓に虫除け剤を散布しておくのも効果的です。

干しておいた洗濯物にやけど虫がついており、知らずに着て背中全体がふくれあがったなんていうケースもありますので、虫がいそうなところに洋服を置いていた場合は、 服を着る前にパタパタ払う という癖をつけたほうがいいかもしれませんね。

やけど虫は決して潰しちゃダメ!!

やけど虫の体液は潰したときだけ出るわけではありません。体に止まった際に体液を分泌した場合、その部分が炎症になってしまいます。虫が体に止まっているのを見つけたら、 一刻も早く、素手ではなく紙などの物を使って、そっと取り除きます。決して叩いたりして虫を潰してはいけません。 家の中であれば、紙などに虫を移動させてから窓の外に払い出すようにします。また、やけど虫に触れた物には体液がついている恐れがありますので、よく洗うか、そのまま処分してしまいましょう。

万が一体液に触れてしまった場合には、 できるだけ早く石鹸でしっかり洗い流します。 そのとき、炎症が拡大しないよう、体液の接触した箇所に直接触れないようにし、可能であればゴム手袋を使用しましょう。

その後、通常の虫さされの薬ではなく、 ステロイド軟膏を塗ります。 ベトナムの場合は病院で治療してもらうか、薬局に行き「Vết đốt do kiến ba khoang(ヴェットドットゾーコンキエンバーコアン)」(やけど虫によるみみず腫れ)と伝えれば、薬を出してもらえます。薬には通常「corticosteroid(副腎皮質ホルモン)」と記載されています。

1週間経っても症状が改善されない場合は、病院で診てもらいましょう。

また、体液が目に入ると重篤な炎症を起こす可能性がありますので、すぐに病院へ行きましょう。虫を触った手で目などの粘膜に触れないように十分注意してください。

筆者も家の中でやけど虫を見つけたことがあります。そのとき、白アリか何かかと思って素手で払いのけようと思ったときに、お尻が上を向いているのを見てふとやけど虫のことを思い出し、よくよく観察してみたらやはりやけど虫で、危ないところで被害を回避できたのでした。この記事でやけど虫のことを知ってもらって、被害を未然に防ぐことができれば幸いです。

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