フランス植民地時代建築の旧市街:
人民委員会庁舎や聖母教会、サイゴン中央郵便局、オペラハウスなど植民地時代に建設されたコロニアルスタイルの優雅な歴史的建造物が多く、ショッピングモールや高級レストラン、ホテル、ショップも多い繁華街。
+人民委員会庁舎(Trụ sở Ủy ban Nhân dân Thành phố):1902年から1908年にかけて建てられ、フランス北部にあるキリスト教会鐘をイメージした設計となっている。かつて、フランス植民地時代にフランスの官邸、南ベトナム政府の時代にサイゴンの市役所として使用されていた。その後1975年にホーチミン市人民委員会庁舎となった。夜になるとイルミネーションで照らされるが、建物自体は観光客に開放されていない。
+聖母教会(Nhà thờ Đức Bà、別称:サイゴン大教会、聖マリア大聖堂):カトリックの大司教座大聖堂で、1863年から1880年にかけて建設された。高さ58メートルの鐘塔が2本ある。大聖堂の前の公園には、ローマの花崗岩で作られた「平和の聖母の像」が置かれている。これはイタリア人彫刻家の作品で1959年にイタリアから運ばれてきた。
+サイゴン中央郵便局(Buu dien trung tam thanh pho):パリのオルセー美術館をモデルにしている。1891年に郵便・電信施設として有名な建築家ギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)によって設計・建設された新古典主義の建物。ホールの中央部及び建物両翼は観光客向けのお土産売り場となっているが、ホール外周のカウンターでは現在でも郵便・通信サービスを提供している。
+ホーチミン市劇場(Nhà hát lớn thành phố):「オペラハウス」として親しまれるホーチミン市劇場はフランス植民地時代の一つ。フランス人建築家のウジェーヌ・フェレット(Eugène Ferret)によって1897年に建てられた800席のこのオペラハウスは、1956年からは南ベトナムの衆議院官舎として使用された。サイゴン陥落の1975年以降は再び劇場として本来の目的で使用されている。
統一会堂(Hội Trường Thống Nhất):
ベトナムを「フランス領インドシナ」として植民地支配していたフランスが1868年に建設を始め、1873年に完成した。政情が不安定だった時代には建物の呼び名も度々変更され、1873年~1955年まではカンボジア王の名前に因んで「ノロドン宮殿」。1955年~1975年は「独立宮殿」と呼ばれた。1962年に南ベトナム空軍が反乱を起こし、建物を爆撃した際にほぼ全壊したため、取り壊され、その後1955年にベトナムの有名な建築家ゴー・ベト・トゥー(Ngo Viet Thu)氏により設計され、新しい宮殿に建て直された。ベトナム戦争中には南ベトナム大統領官邸として使用された。北ベトナム軍の戦車が1975年4月30日に門を破壊して占領した出来事は「サイゴン陥落」のハイライトとして有名。
博物館:
全国で最も多くの博物館がある。戦争証跡博物館(戦争と平和に関する記録や記憶をとどめる展示施設)やホーチミン市博物館(Lý Tự Trọng通り)、ホーチミン市美術博物館(Phó Đức Chính通り)、ベトナム歴史博物館(Nguyễn Bỉnh Khiêm通り、動植物園の隣)などが有名。
クチの地下道(Địa đạo Củ Chi):
市中心部から北西約40キロのクチ郡に位置する全長200キロに亘る地下トンネル網。カンボジアとの国境付近までトンネルが張り巡らされていた。ベトナム戦争中に、南ベトナム解放民族戦線によって掘られ、落とし穴などの罠も数多くあり、米軍に見つからないように工夫をして身を潜めて暮らしたりするために使用していた。