ベトナムの取引先企業のことをどこまで知っていますか?
・最近支払いが遅れているのが気になっている。。
・気になる噂を耳にしたので取引を続けてよいかどうか。。
・取引額を増やしたいが取引を拡大しても大丈夫なのかわからない。。
このように感じた経験をお持ちの方も少なくないと思います。
売掛債権が回収できなければ、自社のキャッシュフローに影響を及ぼし、結果として仕入先への支払いが送れるなど自社の評判を落とすことにもつながってしまいます。さらに回収不能となった場合、依存度や財務状況によっては連鎖倒産というケースも発生します。
このような売掛債権回収不能リスクの評価や経営状況を把握するためには、企業信用調査がリスク低減の重要な武器となるでしょう。
また一方で、ライバル企業の場合、その経営状況を知ることで、自社の売上・シェア拡大戦略に活かしたり、中長期の事業戦略策定に重要な判断材料となることでしょう。
企業信用調査とはどのような項目があるかそれぞれ見ていきましょう。
・会社・事業概要
企業の基本項目です。公開されているものも多いですが、例えば、「実際上の住所」のようにほとんど公開されていない情報もあります。「登録上の住所」ではない場所を拠点にしているという意味で、レポートにはこの住所も公式の登録住所とともに記載されています。
このほか「従業員数」も公開されていません。これは社会保険に加入する「正式な」従業員の数です。相手先の社内で実際に目にした従業員規模と一致しない場合は、要チェック項目となります。
・取引先情報
海外取引先は社名、ベトナム国内取引先は社名と税コードが記載されます。
・仕入・販売情報
国内・海外別の仕入れ・販売品目が記載されます。海外の場合は国名も記載されます。
・拠点等の状況
公式に登録された支店(倉庫)、営業所、駐在員事務所が記載されます。ウェブサイト等には記載のない営業拠点がみつかることも多いです。
・親会社、子会社、グループ会社
中小企業では公開していないケースがほとんどの項目です。企業の詳細を知るよい機会になるでしょう。
・役員・株主の状況
・株主の関連会社
表に出てこない株主情報です。さらにそれらの株主が資本参加している企業情報も記載されます。自社の取引先と資本関係にある企業を把握しておくことで、リスク低減につながるため、重要なチェック項目となります。
・取引銀行名
・銀行別期間別の借入額
・銀行別期間別の貸付債権区分
過去に銀行借入がある場合に取引銀行名が記載されます。また調査時点で銀行借入がある場合にはベトナム国内のすべての銀行からの個々の借入額と、銀行からみた債権(銀行による貸出金=企業の借入金)に関するリスク区分が、(1) 正常先債権、(2) 要注意先債権、(3) 破綻懸念先債権、 (4) 実質破綻先債権、(5) 破綻先債権、のように数字で示されます。
・過去12ヶ月の借入残高の推移
・過去5年間の不良債権の有無
調査時点で銀行借入がない場合でも、直近12ヶ月以内に銀行借入がある場合には、月別に借入総額が記載されます。また調査時点から過去5年間に1度でもベトナム国内の銀行からの借入(銀行からみた貸付債権)が不良債権となった場合はその旨が記載されます。上の3項目と合わせた全5項目は最重要チェック項目といえるでしょう。
・業界レビュー
・総売上高業界上位10社のリスト・市場シェア
調査対象企業が属す業界を多面的に俯瞰できます。
レビュータイプは2種類。
→タイプA:企業統計データ、労働者統計データ、財務統計データ、業界売上高トップ10社の情報とマーケットシェア。
→タイプB:経済指標、業界情報、財務データ、業界売上高トップ10社の情報
・貸借対照表推移
・損益計算書推移
・経営・財務指標
・財務チャート
詳細項目まで掲載していますので、すべてが重要チェック項目です。
・信用格付け
取引上のリスク度を図るための一定の判断基準となる信用格付けを記載します。
そして、ここからはオプション調査となりますが、
・製品別の売上高 (生産量/出荷額)
・従業員給与総額
・従業員 1 人あたりの平均給与額
・給料⽀払いにかかる平均⽇数
・買⼊債務回転⽇数
といった情報も取得可能な企業もあります。
このように詳細な企業の内部情報からリスク評価や企業調査・分析を行うことにより、
回収不能リスクから身を守ることが可能になります。