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豚肉の部位の名称
豚のことを、北部では「lợn(ロン)」、中部、南部では「heo(ヘオ)」と呼び、豚肉のことは「Thịt lợn / Thịt heo」と言います。
上の図は、日本での大まかな部位の名称です。
赤線で書き加えた部分がベトナムの一般的な部位の分け方。日本のものとは異なっています。それでは、それぞれを見ていきましょう。
① Vai(ヴァイ)
「Vai」は「肩」の意味。日本で言う「肩」と「肩ロース」の脂肪が少ない部分になります。少し硬めなので、ベトナムでは薄切りにして茹でて野菜と和えたり、焼きそばの具に入れたりします。チャーシューを作るのにも向いています。
② Đùi trước(ドゥイチュオック)
「đùi」は大腿骨のことを指します。前足の大腿骨なので「trước(チュオック)」(=前の)が付いています。丸ごと茹でてお供えとして使われる部位です。食べる時は骨を取り除き、野菜などと一緒にライスペーパーに巻いて食べたりします。
③ Chân giò(チャンゾー、チャンヨー)
(C) VIETJO Life, Chân giò
Chânは足のこと、giòも動物の足のことです。北部では「giò lợn(ゾーロン)」、南部では「giò heo(ヨーヘオ)」とも言います。ベトナムで豚足はコラーゲンたっぷりのご馳走として食されています。ぶつ切りにして、パパイヤや根菜類などと一緒にスープにしたり、米麺のブンやお粥の具にします。
④ Mỡ lưng(モールン)
「Mỡ」は「脂」、「lưng」は「背中」、つまり背脂(せあぶら)のことです。日本ではこの部分はあまり小売していないので、部位の図にわざわざ書くことはないと思いますが、ベトナムでは背脂を小さく切ってカリカリにしたものを料理に入れたり、背脂を溶かしたもので葱を炒めて香りをつけ、肉や魚の煮付けをつけるときに使用したりと、一般家庭でもよく使われます。
⑤ Thăn(タン)
「Thăn」は牛肉や豚肉の比較的脂身のない部分を指します。この部分には体の内側にあるヒレ肉も含まれており、ヒレ肉は「Nạc thăn」、「Nạc」または「Fillet(フィレ)」と呼ばれています。
(C) VIETJO Life Fillet。スライスしてもらうとトンカツにいいですよ
脂身が少なくやわらかいので、子供やお年寄りのいる家庭ではよく買うようですが、ヒレ肉は日本のようには珍重されていないようです。
⑥ Sườn(スオン)
「Sườn」はあばら骨の周りの肉のこと、つまり「リブ」を差します。特に、あばら骨の細い部分についている肉(スペアリブ)のことを「Sườn non(スオンノン)」、あばら骨から背中側の大きな肉が付いている部分を「Sườn già(スオンザー / スオンザー)」と呼び分けたりします。「non」は「若い、幼い」、「già」は「年をとっている」という意味。胸の先のほうのあばら骨は骨が柔らかいのに対し、背骨に近い部分は太くてごつごつしているので、このような名前になったようです。但し、「Sườn」だけ言う場合は、「Sườn già」を指すことが多いです。
(C) VIETJO Life Sườn。好きな厚さにスライスしてくれます
道端で炭火で焼いておいしそうな香りを漂わせているのは「Sườn già」を使ったBBQ。「Sườn」といえばこの料理を指します。「Sườn non」のほうは煮付けやスープなどに使われることが多いです。
(C) NgBK ベトナムで「Sườn」と言えばこれ!
⑦ Ba chỉ(バーチー) / Ba rọi(バーロイ)
(C) VIETJO Life Ba chỉ。肋骨に沿って細長く切り出して売ってくれます
北部で「Ba chỉ」、南部で「Ba rọi」と呼ばれる部分は、日本の「ばら肉」「三枚肉」にあたります。「Ba」は「3」、「chỉ」は「糸」、「rọi」は「まっすぐに照らす光の筋」という意味なので、日本で脂が三層になっているから「三枚肉」というのに似てますね。ベトナムでは沖縄と同じように皮付きで食べます。角煮、炒め物、揚げ焼きなど幅広く使われています。
(C) NgBK Thịt kho trứng(ティットコーチュン)
⑧ Đùi sau(ドゥイサウ)
「sau」は「後ろ」という意味ですので、「Đùi sau」は後ろ足の大腿骨の部分を指します。煮付けやスープによく使用されるほか、北部ではにこごり(ゼラチン質の多い肉汁を硬めたもの)に似た料理に使われます。
(C) VIETJO Life Đùi sauかđùi trướcかは判断しにくい
調理の前に必ず肉を洗おう!
日本人が聞くとびっくりしてしまいますが、ベトナムでは調理する前に肉を洗うのは常識。ベトナムでは流通段階でどのような場所に肉が置かれているかわからないからです。流水にさらしながら手でこすり、隙間には指を入れてよく洗いましょう。また、保管状況が良くないことから痛みも早いので、買ったなるべくその日のうちに使います。使わない場合は、洗ってから水気をクッキングペーパーでふき取り、使用する状態に小分けにしてラップでくるんでから冷凍庫に保管することをお薦めします。