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ベニサガリバナ / Lộc vừng~ベトナム花図鑑(6)~

風// JST配信
(c) Vietjolife

|[日] <通称>ベニサガリバナ(紅下がり花)
[越] Lộc vừng(ロックヴン)、Lộc vừng hoa đỏ(ロックヴンホアドー)、Lộc mưng(ロックムン)、Chiếc khế(チエックケー)
[英] Freshwater Mangrove、Indian Oak、Itchy Tree、Mango Bark、Mango Pine、Stream Barringtonia、Asian barringtonia、Beach barringtonia、Fish Poison Tree、 Fish-killer-treeなど多数
[学] Barringtonia acutangula subsp. acutangula(サガリバナ科)
[原産] アジア亜熱帯地域
[分布] 南アジア、東南アジア、オーストラリア等
[ベトナム国内分布] 全国
[開花時期] 旧暦4~11月(新暦5~12月)頃に年2~3回開花|

風水的に縁起の良い樹木


ベニサガリバナは正式な和名がないほど日本では稀な木ですが、東南アジアや南アジアではよく見られる花で、ベトナム語名は一般的に「Lộc vừng (ロックヴン)」と呼ばれています。ベトナムでは名前に福禄寿(Phúc Lộc Thọ)の「禄(Lộc)」の字が入っていることから縁起の良い木とされており、家の前やオフィスビルの前に植えると風水的にとても良いそうで、対になるように植えられたりしています。縁起の良さと赤い花の美しさからよく盆栽にもされています。



夜に咲く妖艶な花


ベニサガリバナが咲くのは日が暮れ始めてから夜の間だけ。朝周囲が明るくなってくると花が落ちてしまいます。夜間に咲くのは、夜活動する蛾などの昆虫を集めるためなのだそう。曇り空であれば夕方早い時間から花が開き始めますので、日が落ちる前に花を楽しむことができます。


(c) Vietjolife, 開花シーズンでも日中はたくさんの紐が垂れ下がっているように見える

開花時期は旧暦4~11月(新暦5~12月)頃で、年2~3回花をつけます。ベトナムではこの花の開花時期を旧暦(太陰暦)で表します。というのも夜咲く花であることから月の動きに合わせて開花するためです。ただし、開花時期は剪定の仕方や肥料のやり方などでずらすことができるため、盆栽はテトに咲くよう調整したりしているようです。地植えすれば木の高さは10m程度まで成長します。


(c) Vietjolife, 夕方花が開き始めたベニサガリバナ

ベニサガリバナの花房は長さ20~50センチ程度に垂れ下がっていて、開花するとまるで長いブラシがぶら下がっているように見えます。横向きに咲いた花の花弁は白いのですが、中から赤い雄しべが長く伸びるため、全体的に真っ赤に見えます。近づくと良い香りが漂います。花は房の上のほうから順番に咲いていき、咲いたものからどんどん散っていきます。木全体だと1週間程度花をつけています。


(c) Vietjolife, ベニサガリバナの花房

日本のサガリバナは別種


ベトナムの街中で見かけるのはほとんど赤いですが、白っぽい花が咲く極めてよく似た種類の木もあります。ベトナム名はTim lang(ティムラン)やlộc vừng hoa chùm(ロックヴンホアチュム)、日本ではサガリバナ(サワフジ、学名Barringtonia racemosa)という和名がつけられています。奄美大島以南、沖縄などに自生しているそうで、東南アジアにも自生しています。

Barringtonia racemosa (43560169191).jpg
LiCheng Shih - _ESI9573 Barringtonia racemosa, CC 表示 2.0, リンクによるサガリバナ(サワフジ)の花房。こちらも夜開花する

果実は下痢止めに


花が終わった後は実が成ります。

Barringtonia acutangula (Freshwater Mangrove) fruits in Kolkata W IMG 8545.jpg
Bởi J.M.Garg – Tác phẩm do chính người tải lên tạo ra, CC BY 3.0, Liên kết

こんな実ができるのですが、私がしばらく観察していた木は花が散った後2~3個しか実が見つかりませんでした。想像ですが、場所によっては蛾などの虫があまり来なくて受粉がうまくいかないといった理由があるのかもしれません。

ベニサガリバナの実は民間療法で使われているようで、実は下痢、腹痛、歯痛、咳止めとして使用されるのだとか。また、樹皮にはタンニンが含まれていて、下痢や腹痛に使われるほか、根は解熱や麻疹の治療に使われているのだそうです。

ベニサガリバナが見られる場所


ベトナムの市街地には、街路樹としてベニサガリバナが植えられている場所がところどころに見られます。もともと湿地帯に自生しているため、水辺に植えられることが多いようです。特に ハノイのタイ湖(Tây Hồ、西湖)沿いのグエン・ディン・ティ (Nguyen Dinh Thi)のベニサガリバナの街路樹 や、 ハドン区のハドン市場やヴァンクアン湖(Hồ Văn Quán) の周辺の開花や落花の様子は見事です。近くに行ったときに開花時期にちょうど重なれば、夜や早朝に足を運んでみてはいかがでしょうか。昼間に紐がたくさんぶら下がっている木が目印です。

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