[越] Đậu cô ve(ダウコーヴェー)、Đậu que(ダウクエ)、Đậu ve(ダウヴェー)、Đậu a ri cô ve(ダウアリコーヴェー)
[英] green bean, string bean, snap bean
[学] Phaseolus vulgaris(マメ科)
[原産] メキシコ南部やグアテマラ、コスタリカ一帯|
フランス植民地時代にベトナムへ
サヤインゲンはベトナムではよく使われる野菜。ニンニク炒めにしたり、牛肉と一緒に炒めたり、スープの具材にしたり。ベトナムのお弁当を毎日食べていると、週に1回は口にするほどポピュラーな食材です。
(C) NgBK, サヤインゲンのニンニク炒め
ベトナム語では Đậu cô ve(ダウコーヴェー) と呼ばれますが、これはサヤインゲンのフランス語名「アリコヴェール(haricot vert)」が由来です。Đậuは「豆」という意味で、最初はĐậu a ri cô ve(ダウアリコーヴェー)と呼ばれていたのが、縮まったようです。フランス語名が由来となっていることから、フランス植民地時代にベトナムへもたらされたと思われます。
年に3回収穫できるので、日本語で「三度豆」と呼ばれています。ベトナム南部では通年で栽培されていますが、主に冬と春に植えるそうで、 冬に植えたものは8~9月、春に植えたものは10~11月に収穫期を迎えます。
ベトナムのものは色が明るくみずみずしい
サヤインゲンにもいろいろ品種があるようですが、日本で一般的なサヤインゲンに比べると、ベトナムのものは色が明るく黄色がかっています。また、少し長めで、20cmほどの長さがあります。
左は日本のサヤインゲン、右はベトナムのもの
日本人が見ると少し色あせて見えるため、日本のもののほうが美味しそうに見えるのですが、ベトナムのサヤインゲンは青臭さがなく、とてもみずみずしいです。筆者は日本ではあまりサヤインゲンが好きではなかったのですが、ベトナムに来てから好きになりました。
なお、ベトナムではサヤインゲンに似たジュウロクササゲ(十六大角豆)=Đậu đũa(ダウズア / ダウユア)がサヤインゲンと同じくポピュラーな食材。鞘の中に豆が16個あることからジュウロクササゲと名づけられたそうですが、サヤインゲンの鞘を驚くほどながーくした豆です。色は濃い緑色で、サヤインゲンより若干萎びた感じ。味はサヤインゲンととてもよく似ていますが、食感にサヤインゲンのようなシャキシャキ感がありません。ジュウロクササゲの炒め物もお弁当の付け合せによく出てきます。
左はジュウロクサゲ、右はサヤインゲン
免疫力を高めるβカロテンが豊富
サヤインゲンの特徴は、 βカロテンが豊富 に含まれていること。 βカロテンは、免疫力を高め、風邪やガンの予防に効果がある といわれています。また、食物繊維が豊富なため、便秘ぎみな人におススメ。アスパラガスにも含まれるアスパラギン酸というアミノ酸が含まれており、疲労回復やスタミナ増強に効果があるそうです。カリウムも豊富で、血圧上昇の抑制や生活習慣病の予防効果が期待できます。葉酸も豊富ですので妊婦は積極的に採ると良い野菜です。
調理方法
日本ではスジなしのサヤインゲンも広く出回っていますが、ベトナムのものはたいていしっかりとしたスジがありますので、取ってから調理します。ベトナムでポピュラーな調理方法は、ニンニク炒め、牛肉炒め、塩茹で、スープなど。細かい輪切りにしてチャーハンに入れることもあり、彩りが良くなります。
選び方と保管方法
傷がなく、なるべく色がきれいなものを選びます。皮に張りがあり、曲げたときにふにゃっとせず、全体的に太さが均一なものが良いです。多少鞘が曲がっていても味に変わりはありませんが、表面が中の豆の形にデコボコしているものだと、豆が育ちすぎて硬い場合があります。
スーパーではネットに入れられていることが多いですが、保管するときはネットから出し、ラップやビニールにくるんで、野菜室で保管します。低温に弱いので冷蔵庫だと3日程度しか日持ちしません。すぐに食べきれないときは適当なサイズに切って硬めに茹でて、タッパーなどに入れて冷凍しておくと1か月ほど持ちますし、調理するのも簡単です。
|【ポイント】βカロチンが豊富で、免疫力を高めてくれます。茹でたり炒めたり、スープに入れたりと活躍の場が広く、調理が手軽なので重宝します。|