ベトナム人は日本人に比べると「家族」に対する思いが強いように感じますので、わざわざこのような記念日を制定するまでもないという気がします。この背景には、故ホー・チ・ミン主席の 「たくさんの家族が集まって社会を形成する。良い家族があってこそ良い社会があり、社会が良くなれば家族は更に良くなる。社会の核は家族なのだ」 という言葉に従って、ベトナムの政治・社会において家族が最も重要な単位であるという考え方があるようです。
(C) NgBK
ちなみに、日本でも2007年より、 毎年11月の第3日曜日が「家族の日」、その前後1週間を「家族週間」 となっていますが、こちらもまだ浸透してないようですね。
6月28日になったのは、ある文書の日付から
通常、記念日の日付は、何か出来事があった日が指定されるものですが、ベトナム家族の日はちょっと変わっていて、 ベトナム共産党中央執行委員会政治局が2000年に出した指示書の日付が6月28日だった ことから、この日が家族の日に指定されました。
この指示書は、児童保護法や子供の権利に関する条約の実施、子供のための国家プログラム(1991~2000年)により、子供の生活や就学状況に大きな改善がみられるものの、まだ農村部や山間部には就学していない児童や栄養失調の子供たちがたくさんおり、人身売買などが依然横行して、底辺の生活から抜け出せない状況があるとし、各組織に対して「幸福で揺るぎない家族」を構築すべく行動するよう指示したものです。
これを受け、翌2001年4月4日、この指示書が出された6月26日を毎年「ベトナム家族の日」とする首相決定が出されました。文書の中では、 「家族は社会の細胞であり、育む揺りかごであり、子供の人格の形成と教育において重要な環境である」 とし、「温かく平等かつ進歩的で幸福な家族」を築くことこそ、国の建設と防衛に貢献するものと位置づけています。
(C) NgBK, 「幸福な家族は、皆の希望や願いを育み発展させる揺りかご」
「ベトナム家族の日」には何をする?
比較的新しい記念日であること、特に何かの出来事を記念して定められたわけではないこと、党主導の政治色の濃い記念日であることから、ベトナム家族の日の認知度は非常に低いです。政府はこの記念日に際して、家族に関する統計を発表したりします。
ほかの記念日に比べて盛り上がりには欠けるものの、野外に特設ステージが設けられて家族向けのショーが開催されたり、家族で参加できるプログラムが各地で開かれたりします。また、一部の店舗では家族の日を記念した割引キャンペーンを実施しています。