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ホーチミンの骨董通りを散策~1区レコンキエウ通り~

ホ// JST配信
ホーチミン市1区のベンタイン市場前のロータリー南側、ホーチミン市美術館のはす向かいに伸びる小さな通り「レコンキエウ(Lê Công Kiều)通り」は、別名「骨董通り(Phố Đồ cổ、フォードーコー)」と呼ばれています。乗用車1台通るのがやっとの道幅ですが、全長200mほどの道の両側には50以上の骨董品や古道具を売る店が並んでいます。今回は、ホーチミン市のど真ん中に位置しながらも昔の面影も残す「骨董通り」をぶらりと歩いてみました。


(C) T. Kondo



 

「骨董通り」になったワケ


ホーチミン市の中心がかつて「サイゴン」と呼ばれていたころ、ここは東南アジア有数の世界都市でした。世界各国から商人たちが移り住んでおり、後に「骨董通り」となる界隈にはアラブ系の人々が数多く住んでいたようです。しかし、1975年にサイゴンが陥落してベトナム戦争が終結すると、外国人の多くが自国に引き揚げ、このアラブ系の人々が住んでいた界隈も空き家ばかりになりました。そこへ南北統一により北部からやってきた人たちが移り住み、空き家に残されていた陶器や古本など必要のない家財道具を売るようになったのが「骨董通り」の始まりだといわれています。

「骨董通り」は、1990年代後半から2000年代前半頃にかけて最も賑わったようで、ベトナム人だけでなく、対外開放政策により徐々に増えてきた外国人観光客が掘り出し物目当てに集まるようになりました。現在も、この通りはホーチミン市で訪れるべき観光地の一つとして紹介されています。

かつてのように本物の骨董品がざくざくあるというわけには行きませんが、アンティークだけでなく、かつてのサイゴンの文化や生活スタイル、建築様式なども味わうことができます。

2000年には当時米国のファーストレディだったヒラリー・クリントン女史が、2008年にはスイス大統領夫妻がこの通りを訪れています。バイクや車もあまり通らず、骨董品が並べられただけの静かな通りで、「かつてのサイゴンはこんなだったかな」と思いをはせられるところが、この通りの魅力かもしれません。


(C) T. Kondo

掘り出し物を探してみよう


美術館のほうから通りに入ったのですが、すぐに両脇に並ぶたくさんの骨董品が目に飛び込んできて、わくわくします。


(C) T. Kondo

美術館側から入ってすぐ右手にあるこのお店には、龍や豚、鹿などの形をした銅製の置物や古銭などがたくさん並んでいました。


(C) T. Kondo

このお店には、大量のオイルライターが。ベトナム戦争時に米軍兵士たちが使っていたと言われるものです。当時そのままのものは店の奥に隠されていて、表に出ているものはレプリカ。値段を聞いてみたところ、ベトナム製で1つ10USD(約1120円)とのこと。キャラクターの刻まれたものもあり、タバコを吸う人ならベトナム土産としてよさそうです。但し、ライターの飛行機への持ち込みは制限されていますので、事前に個数や条件を調べておきましょう。


(C) T. Kondo

このオイルライターは特大サイズで、縦の長さは20cmぐらいありました。値段は35USD(約3920円)だと言っていましたが、飛行機に持ち込めないし、なかなか売れないんじゃないでしょうか。

もし、ミリタリーマニアやZIPPOマニアで、どうしても本物が欲しいという場合は、事前にしっかり本物の特徴や価値を調べてから挑戦を。店主に言えば、奥から「本物」と言う商品を出してくれます。もちろん、値段はレプリカとは比べ物になりません。

 
更に通りをグエンタイビン(Nguyễn Thái Bình)通りに向かって進んでいくと、思わず欲しくなってしまうようなアンティークがたくさん見つかりました。


(C) T. Kondo

このお店のショーケースには、年代物のカメラがたくさん並べてありました。中には日本のカメラもあります。値札はかかれていないので、購入するときに値段交渉することになります。やはり、本物かどうかを見極める目と、価値がどの程度なのか知っておかなければいけませんね。


(C) T. Kondo

こちらのショーケースには古いコインや札束がずらり。

この他にも、通りには陶器やお皿、絵画や仏像とコレクターにはたまらないアンティーク商品がたくさん並んでいます。




(C) T. Kondo

陶器などもやはりレプリカが多いようですが、現代の作品とはやはり雰囲気が違います。例えば、有名なベトナムの陶器バッチャン焼きも古い時代のスタイルを真似てつくっているので、日本の茶道の世界で「安南染付け」といわれ尊重されていた古い時代のものと同じように高台(こうだい=茶碗の下についている丸い台の部分)の高いものがあり、レプリカとわかっていても「面白い」と買う人がいるそうです。

 
なお、この通りでは、隣り合わせの番地のお店でだいたい同じような商品を扱っています。例えば、セラミック・陶器類は19番、21番、23番のお店、古い鐘やクメール時代の像は34番、36番、38番、40番のお店、といった具合です。ベトナムの道路では、道路の片側に奇数番号、その反対側に偶数番号が並んでいます。

*参考:ベトナムの住所の見方(前編)~住所にまつわる豆知識~
ベトナムの住所の見方(後編)~ホーチミンの番地ルール~

 
美術館ではガラス越しにしか見ることができないものも、この骨董通りでは手にとって眺めることができます。レプリカも多いですが、本物ももちろんあり、交渉次第で日本で手に入れるより格段に安く買える場合もあります。ホーチミンにショッピング目的で訪れる観光客が多いですが、ここで一味違ったショッピングや散策を楽しむのもいいかもしれませんね。


(C) NgBK

そして、ぜひ建物にも注目を。上の写真はグエンタイビン(Nguyễn Thái Bình)通り側からの入り口から見た骨董通りの様子です。右手の建物は相当手が加えられているものの、窓の上の部分がアーチ型になったところなど、古い様式が残されています。


(C) NgBK

左手の建物は、相当歴史ある感じで、木が生えていたりして味がありますが、かつてあったであろう屋根やひさしの瓦はすべて落ちてしまっています。老朽化が激しいようなので、もしかしたら近いうちに取り壊される可能性も。

このあたり一帯は、市の中心部ということで、次々に古い建物が取壊され、再開発されています。もしかしたらこの骨董通りを見られるのも今だけかもしれません。

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