[越] Me(メー)
[英] Tamarind
[学] Tamarindus indica(マメ科)
[原産] アフリカ熱帯地域
[サイズ] 鞘の長さ7~15cm、幅2cmほど|
味は「干し柿+梅干」
日本では見かけることがないタマリンド。最初に見たときは大きな芋虫かと思ってぎょっとしてしまいました。薄くてパリパリした鞘を割ると、中にペースト状の果肉がはいっています。
(C) VIETJO Life
タマリンドにもいくつか種類があり、鞘がついた状態で売られいるものは、基本的にこのまま食べておいしい甘い種類です。味は、 甘い干し柿に少し梅干を加えたような味 で、日本人には馴染みやすいのではないかと思います。和菓子的な感じもするのか、特に年配の人にウケが良いようです。
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果肉の中には硬くて黒々とした種が入っています。ベトナムでは捨ててしまいますが、国によっては種を炒って食べたりコーヒーのように使うのだとか。また胚乳部分は食品添加物の増粘安定剤「タマリンドガム」が作られているそうなので、日本人も知らない間にタマリンドを食べているかも。
アフリカが原産ですが、東南アジアをはじめ世界の熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されています。ベトナムでは田舎に行けばあちこちに生えており、みんな適当にもいで食べています。ベトナム語でタマリンドは 「メー(Me)」 。簡単すぎて逆に伝わりにくい単語ですが、「クアメー(quả me、北部)」「チャイメー(trái me、南部)」と果物を表す類別詞「quả」「trái」を頭につけると通じます。 ベトナム産のものよりタイ産のもののほうが鞘がむきやすく、酸味がなく甘くておいしい と言われています。
そのまま食べるだけではなく、煮出してシロップ状にした果肉にたっぷりのクラッシュアイスとピーナツなどを入れる「ダーメー(đá me、đá=氷)」や、更にコンデンスミルクを加える「ダーメースア(đá me sữa、sữa=ミルク)」にすると、暑い日に最適なオヤツになります。
ベトナム料理の「酸味」として活躍
ベトナム料理には、酢を使っていないのに甘酸っぱい味付けのものが結構ありますが、その多くはこのタマリンドで味付けされています。
調味料として使われるタマリンドは生食用のものより甘味が少なくかなり酸味が強い です。甘いタマリンドと区別するため「メーチュア(Me chua、chua=酸っぱい)」と呼ばれています。
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調理に使いやすいよう果肉を取り出し袋や容器に詰めた状態で売られています。割高ですが、上の画像のような1回使い切りパックもあります。常温で放置しておいても結構日持ちがします。
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タマリンドを使った料理として最も有名なのは、 メコンデルタ地方発祥のスープ「カインチュア(Canh chua、酸っぱいスープ)」 でしょう。程よい酸味で食欲が増します。
(C) NgBK, Ốc móng tay xào me
また、貝料理をはじめ、肉や魚などの食材を炒める際にタマリンドを使ったソース 「ソッメー(sốt me)」 が大活躍。程よい酸味と甘さは、どんな食材にもよく合います。
未熟のものは漬物やお菓子に
未熟なタマリンドは漬物にして食べられています。道端で売られているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
(C) NgBK, me ngâm
タマリンドの漬物は「メーガム(Me ngâm、ngâm=漬ける)」といいます。普段から売られてはいますが、特にテト(旧正月)によく食べられています。砂糖水に鞘をむいたタマリンドを漬けるだけ。タマリンドの酸味で甘酸っぱい漬物になります。また、唐辛子を入れて辛くしてあるものもあります。
また、未熟なタマリンドを砂糖水で煮詰めたお菓子 「ムッメー(mứt me)」 もテトのお菓子の定番です。
疲労回復や整腸に効果、メタボ対策にも
タマリンドには、酒石酸やクエン酸、果糖、ビタミン類が豊富に含まれています。酒石酸やクエン酸には、 疲労回復や腸内環境を整える効果 があるのだそうです。また、 脂肪がたまるのを防ぐ 働きがあるそうで、メタボが気になる人には最適。更には、食事の30分ほど前にタマリンドを摂取しておくと、 満腹感が得られやすくなる とか。そのほか、 血糖値を正常に保つ働き や 新陳代謝を促す効果 もあるそうです。
整腸効果で慢性の便秘の解消に有効ではありますが、正常な人が食べ過ぎるとお腹を下しやすくなりますので、ご注意を。
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|【ポイント】 ベトナム料理の「酸味」として活躍する一方、そのまま食べても甘くておいしいタマリンド。疲労回復や整腸に効果がありますが、食べ過ぎに注意。|