ベトナムの乳がん事情と支援団体
今回寄付した先は、乳がんの早期発見に関する教育や啓発の強化、乳がん患者の生活の質の改善を目的として、ホーチミン市を拠点に活動している非営利団体 *ベトナム乳がんネットワーク(ベトナム語名:Mạng lưới ung thư vú Việt Nam、英語名:Breast Cancer Network Vietnam=BCNV) です。
BCNVによると、ベトナムでは乳がん患者の50~70%が発見時点で既に末期状態で、死亡率が高いのだそう。近年は若い女性にも多く、新たに乳がんが発見される患者数は年間1万5000人で、2020年には年間2万5000人に増加するとされています。
BCNVは、乳がん患者向けの「ウィッグライブラリー」を展開しています。ここでは、保管がしにくく質も低い人工毛ではなく、ドナーから寄付された人毛を材料としてウィッグを作り、乳がん患者に貸し出しています。そして、1人でも多くの乳がん患者を支援するため、ドナーからの髪の毛の寄付を受け付けているのです。
寄付する髪の毛をカット
ヘアドネーションは、寄付する髪の毛をカットするところから始まります。BCNVではヘアカットを受け付けておらず、自分でカットしたり、美容室などでカットした髪の毛の寄付のみを受け付けています。
私がカットしたところはローカル美容室ですが、もともと貧しい人に対する無料ヘアカットや、髪の毛を寄付するためのヘアカットなど様々な支援活動に積極的に参加しているそうで、「短くしてください」と伝えたところ、「せっかく長い髪の毛なので、持ち帰って寄付してはいかがですか?」と美容師さんの方から提案してくれました。
しっかりと洗髪した後、左右と後ろに3つの髪の毛の束を作って、束ごとにざっくりとカットします。カットするのは、希望の長さよりも少し下のところ。切った束を1つにまとめて、輪ゴムできつく縛ります。少しでも湿っているとカビや雑菌が繁殖してしまうので、 縛った髪の毛はドライヤーでしっかりと乾かしましょう。
あとは希望の通りにカットするだけ。ローカル美容室でのカットについては、「 ローカル美容室ってどう?①~男性カット編~ 」「 ローカル美容室ってどう?②~女性カット&デジパ編~ 」「 ローカル美容室ってどう?③~使えるベトナム語会話集~ 」に詳しく書かれています。
寄付の方法
美容室から帰ったら、次は郵送の準備です。縛ったままの髪の毛をビニール袋またはジップロックなどのチャック付き袋に入れて口を閉じます。この袋ごと封筒に入れて、宛先を書いて、事務所に郵送すれば完了です。宛先は以下の通り。
団体名:Mạng lưới ung thư vú Việt Nam (英語:Breast Cancer Network Vietnam)
住所:180/47 Nguyễn Hữu Cảnh, P.22, Q.Bình Thạnh, Tp.HCM
(英語:180/ 47 Nguyen Huu Canh Street, Ward 22, Binh Thanh District, Ho Chi Minh City)
電話:08.3510 6240
宛先人:Ms. Thúy Mỹ
また、事前に連絡しておけば、上記のBCNV事務所へ持ち込むこともできます。月~金曜日の日中のみ受け付けているそうです。
(C) VIETJO Life
BCVNは、受け取ってから90日以内に郵送またはemailでドナー宛に礼状を送付するとのこと。自分が寄付した髪の毛のその後の情報を受け取りたい場合、 こちら から問い合わせるか、髪の毛を郵送する際に個人情報(氏名、住所、email、電話番号)を記した紙を同封すればよいそうです。
寄付できる髪の毛・寄付できない髪の毛
寄付できる髪の毛や寄付できない髪の毛など、寄付に関する条件は以下の通り。条件を満たした全ての人が、髪の毛を寄付することができます。詳細は こちら からも確認できます(英語・ベトナム語)。
<寄付できる髪の毛>
・切り口から毛先までが15cm以上の髪の毛(自然な黒髪が好ましい)
・黒髪でなかったりくせ毛だったりしても、自然な髪の毛であればOK
・くせ毛でも、伸ばした状態で15cm以上あればOK
・以前にカットし保存していた髪の毛でも、しっかり結んで(または編んで)まとめてあればOK
<寄付できない髪の毛>
・人工的に染めて自然の色が残っていない髪の毛
・カットして床に落ちた髪の毛
・ポニーテール状にまとめて結ばれていない髪の毛
・ウィッグ、ヘアエクステンション、傷んだ髪の毛、枝毛
また、ウィッグに使用できない15cmに満たない長さ(10~14cm)の髪の毛も、転売してウィッグの制作やウィッグライブラリーの管理・活動の費用に充てることができるので、寄付を受け付けているそうです。
ベトナムでも様々な支援活動が行われていますが、外国人は情報が得にくかったり、言葉の壁があったりと、活動への参加を躊躇してしまうケースも多いのではないかと思います。ヘアドネーションであればカットした髪の毛を縛って持ち帰り、郵送するだけでよいので、外国人でも誰でも参加することができます。ぜひ参考にしてください。