「貸し部屋」ってどんなもの?
「貸し部屋」とは、基本的にベトナム人一家が住んでいる家の一部を貸出している物件です。大家さんが1階部分に住んでいて、上の階をすべて貸出しているケースもあれば、家の中の1~2部屋だけ貸しているケースもあります。日本の昔の「下宿」をもうちょっとおしゃれにした感じでしょうか。お金を払えば食事を出してくれるところもあります。
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貸し部屋の例
大家さん一家と玄関は一緒ですが、部屋に鍵があり、バスルームは各部屋についています。ベッド、クローゼット、冷蔵庫、テレビ、ホットシャワーといった基本的な家具や設備が付いています。また、数が少なく割高ですが、ミニキッチン付きの物件もあります。外国人向けに部屋を貸している場合、大家さんと英語で意思疎通が可能なことが殆どです。賃貸料は広さやバスタブの有無、立地などによって月額150USD~500USD程度となっています。
その他、複数の外国人が1軒を借りてルームシェアしていて、そこに空き部屋があるケースもあります。この場合はリビングルームや台所を共同で使うことができたりするので、比較的ゆったりと生活できますが、家に誰もいない時間が多いことから、防犯面を考えると大家さんが家にいるほうが安心ではあります。
「貸し部屋」の探し方
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「Room for rent」の看板を出した家
最も手っ取り早い探し方は、部屋貸しが多いエリアへ行き、「Room for rent」「Phòng cho thuê(フォンチョートゥエ=貸し部屋)」の看板や張り紙を出している家を回ることです。また、表示が出ていなくても空いている部屋があるケースがあるので、近所の住人に聞いてみて紹介してもらうとよいでしょう。仲介者を介さない分安く、すぐに部屋を見ることができるという利点があります。
最近はインターネットで情報を探すこともできます。日本語の不動産サイトなどにも若干情報がありますが、英語のクラシファイドサイトのほうが豊富です。例えば、「expat blog」のベトナムハウジング情報 や、「vietnam.craigslist」の貸し部屋情報 には情報がたくさん載っています。
あとは、日本人や外国人の滞在者つながりで聞いてみると、今んでいる家に空き部屋があるといった情報が出てくると思います。
部屋を見に行くときは、知り合いのベトナム人がいれば一緒にきてもらうと、交渉を手伝ってもらえるというだけでなく、大家さんの人柄などもある程度見てもらうことができるので、良いと思います。
外国人向け「貸し部屋」の多いエリア
初めてベトナムに住む場合、ベトナム語がわからない場合には、やはり日本人が多く在住するエリアのほうが何かと便利だと思います。ここでは、ホーチミン市1区内で日本人が多く住むエリアを挙げておきます。家賃はあくまで目安で、物件サイズや設備、部屋の階数(エレベーターがないので上に行くほど安い)などにより変わります。
レタントン通りとタイバンルン通り交差点周辺
日本食屋が数多く立ち並ぶあたりの裏路地(ヘム、hẻm)には貸し部屋をやっている家が立ち並んでおり、中にはミニキッチン付きの物件もあります。家賃は300~500USD。
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レタントン通りの裏路地
グエンティミンカイ通り18番地付近
ホーチミン市人文社会大学から近い場所柄、留学生が多く、レタントン通りより少し割安です。18A、18Bのヘム(路地)の中に部屋貸しをしている家が多いです。家賃は250~400USD程度。
ニューワールド近くのロータリー周辺
四輪車の入れない細い路地の中で貸部屋をやっている家があります。噂によると、このあたりの大家さんは公安と太いパイプを持っており融通が利くらしいですが、定かではありません。家賃は250~400USD程度。
タンディン市場周辺
貸し部屋をやっている家は集中しておらず散らばっているので、現場に行って探すのはちょっと難しいかもしれません。また、中心街からハイバーチュン通りを北上したエリアで、若干離れているため、バイクがないとちょっと不便。中心より北のほうに学校や職場がある人にはお薦めです。家賃は200~400USD程度。
ブイビエン通り周辺
バックパッカーの集まるファングーラオ街区のブイビエン通りは、格安ホテルが多いことで有名ですが、立ち並ぶ商店の上が貸し部屋というところが多いです。周囲は夜遅くまで騒がしいので、静かに暮らしたい人にはあまり向きませんが、食べる場所がたくさんあって便利です。家賃は150~300USD程度。
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ブイビエン通り
借りる前に確認しよう
◇門限があるかどうか
玄関の鍵を持たせてくれて出入り自由の物件と、玄関の鍵は渡されず、中にいる大家さん家族を呼び出さないと玄関を開けられない物件があります。大家さんに玄関を開けてもらう場合、「何時でもOK」というところもあれば、遅くなる場合は事前に帰宅時間を知らせなければならないケース、門限は10時と決められているケースなど、大家さんによりかなり違いがあります。
◇掃除・洗濯サービスの有無
大家さんの多くは家政婦を雇っていて、掃除・洗濯もやってくれることが多いですが、どちらか一方だけだったり、両方ない場合もあります。サービスがない場合、洗濯機やモップなどの掃除道具を使わしてもらえるかといったことも確認しましょう。留守中にあまり部屋立ち入ってもらいたくないという人は、大家さんと交渉して掃除は自分でするという方法もあります。
◇電気代、水道代、インターネット代は家賃に含まれるか
これらの料金は家賃に含まれているケースが殆どですが、ある一定量を超えると請求される場合や、最初から家賃とは別に請求される場合もあります。別の場合はどのくらいの料金がかかるか聞いておきましょう。また、Wifi、エアコン、給湯器の有無も確認を。
◇バイクや自転車が駐輪できるか
駐輪可能かどうか、駐輪代は無料かどうか確認しましょう。
◇デポジット返却について
通常、家賃1か月分を前払いするほか、デポジットとして1~2か月分を支払います。デポジットは通常、何事もなければ解約時に返金するか、最後の月の家賃とされますが、事前通告期間なく退出すると、デポジットを返却してくれないケースもあります。デポジットが返却されないケースについて確認しておきましょう。
◇壁にシミがあったら借りないほうが無難
天井や壁、窓付近に大きなシミがあるのは、天井や窓、上の部屋から水が漏れている(漏れたことがある)証拠です。あまりひどいようなら、借りないほうがいいでしょう。
借りてからの注意点
大事なものは鍵のかかる場所に
部屋の鍵はかけていても、特に掃除サービスがついている場合は留守中に誰が部屋に入るかわかりません。出しっぱなしの貴重品だけでなく、買いだめしておいた化粧品や普段使わない時計などがなくなるというケースもあります。転売しやすい狙われそうなものは、金庫、鍵のかかる引き出しやスーツケースなどにしまっておくのが無難です。
友人を家に呼ぶときは家の人に紹介しよう
友人を自宅に招いた際は、大家さんに会ったらきちんとどこの誰かを紹介しましょう。大家さん側からすると、自宅内を知らない人がうろうろするのは気分が良くないものですし、「物がなくなるのでは」と余計な警戒をしてしまいます。
出かけるときは戸締りをしっかり
出かけるときは特に窓をしっかりしめておきましょう。防犯のためはもちろんですが、雨季になると雨がふきこんで家中が水浸しになるなんてこともあります。また、床にパソコンなどの電化製品を置いておくのは危険です。窓を閉めていても、床との隙間などから屋内に水が入ってきて床が水浸しになることがありますので、特に雨季は床にあまり物を置かないようにしましょう。
また、鉄格子があるから侵入できないだろうと窓に鍵をかけないでおくと、鉤のついた長い棒を窓から差し込んで盗みをはたらくケースもあります。気をつけましょう。
まとめ
貸し部屋は大家さん一家と常に顔を突き合わせるため、アパートを借りるよりもベトナム人と接触する機会が増え、ベトナム語習得には良いかもしれません。また、大家さんによっては家族のように接してくれて、食事を差し入れてくれたり、病気のときに看病してくれたりすることも。中には必要以上に干渉してくる大家さんもいて逆に居心地悪いということもありますが、頼れる人が家にいるというのは何かと心強いものです。まだベトナム語もしゃべれず、現地の生活に馴染んでいないという方は、まずは貸し部屋からスタートしてみましょう。
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