解説 | |
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日本語名 | サポジラ(スペイン語から)、チューインガムノキ、メキシコガキ |
ベトナム語名 | Hồng xiêm(ホンシエム、北部)、SabôchêまたはXapôchê(サボチェー、南部)、Lồng mứt(ロンムット、南部) |
英語名 | Sapodilla |
学名 | Manilkara zapota(アカテツ科) |
原産地 | 中米、カリブ海 |
サイズ | 7~12cm(ジャガイモサイズ) |
外国人はジャガイモとよく間違える!?
特にヘタが取れた状態だと外見が ジャガイモやキウイフルーツにとてもよく似ている ため、外国人が間違えて買ってしまったという話をよく聞きます。地味な見た目はトロピカルな感じがしませんが、味も全くもってトロピカルではなく、驚くほど干し柿に似ています。

サポジラは中米原産の果物で、日本では殆ど知られていませんが、大航海時代にスペインがメキシコからフィリピンへサポジラを持ち込んで東南アジア一帯に広まったため、ベトナム周辺国では馴染みのある果物です。現在では沖縄でも栽培されているそうです。サポジラの木の樹液からはチクルというチューインガムの原料となるラテックスが採れるため、「チューインガムの木」とも呼ばれています。
ベトナム南部では、フランス語のSabotier(サポティア)から Sabôchê(サボチェー) と呼ばれるようになりました。ベトナム語に「ポ」の音がないため発音できず、「ポ」が「ボ」になっています。また、これはこじつけだと思いますが、なぜ最後が「チェ」になってしまったかというと、余りにも外見が醜いので皆がけなす(chê、チェー)から、と言う人もいます。
北部ではサボチェーと言っても通じず、Hồng xiêm(ホンシエム)と呼ばれています(逆に南部でホンシエムと言っても殆ど通じません)。Hồng は柿、xiêmはタイの1939年までの国名Sian(サヤーム、サイアム、日本ではシャム)の意味で、タイから入ってきた柿のような果物、という意味でこの名がつきました。
収穫期はテト明けから10月
サポジラの収穫期は長く、テト(旧正月、1~2月)明けから10月ごろまでがシーズンです。
産地は北部が中心です。ハノイ市トゥーリエム郡のスアンディン(Xuân Đỉnh)村、ハイズオン省タインハー(Thanh Hà)郡のものが有名で、そこで収穫されたサボジラはそれぞれ「Hồng xiêm Xuân Đỉnh」「Hồng xiêm Thanh Hà」と呼ばれています。
ビタミンやミネラルが豊富!
見た目は悪い果物ですが、ビタミンやミネラルが豊富。特にたくさん含まれているカリウムには血圧を下げる効果があります。またカルシウムやビタミンB2、B3、B5、B6、C、Eなどが豊富なため、ベトナムでは特に妊婦や子供が食べると良い果物と言われています。その他、ビタミンB5、B6、B3、B1は、疲労を回復し、睡眠が深くなるのを助けるといわれているそうです。

更に、タンニンとポリフェノールが豊富に含まれており、消化や老廃物の排出を助けます。各種ミネラルは代謝を活発に しますし、ビタミンC、Eと共に 酸化を防ぎ、アンチエイジング効果が期待できます。
なお、東洋医学でもサポジラが用いられているようで、樹皮や緑の果実は赤痢やマラリアの治療薬に、種は解熱剤や利尿剤に、葉は咳止めや血圧降下に使われるそうです。
食べ方
かなり甘いので、食べる前に冷やしたほうがおいしいです。くし切りにしてからナイフで皮をむいて食べるのが一般的です。
また、コンデンスミルクと牛乳を入れてスムージー(sinh tố、シントー)にすると、干し柿のイメージから少し脱して垢抜けた(?)感じになり、かなりおいしいですよ。果肉がとても柔らかいので、スプーンなどでつぶしてミルクやコンデンスミルクと混ぜて凍らせ、シャーベットにするのもおススメです。

選び方と保管方法
果実を押して固いものはまだ熟していません。未熟のものは渋みが強く食べられませんので、常温で追熟させます。 触った感触に弾力が出てきたら食べごろです。熟したらビニールなどにくるんで冷蔵庫の野菜室に入れて冷やし、なるべく早く食べましょう。
【ポイント】 見た目がジャガイモにそっくりで干し柿によく似た味の果物。栄養豊富で、血圧を下げたり、疲労回復の効果が。果実の表面を押して弾力が出てきたら食べごろです。