VIETJO - ベトナムニュース 印刷する | ウィンドウを閉じる
[特集]

夜明けに開かれるハノイの「新聞市場」

2024/03/24 10:42 JST更新

(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
(C) dantri
 まだ夜も明けきらない早朝、ハノイ市ホアンキエム区のディンレー(Dinh Le)通りとディンティエンホアン(Dinh Tien Hoang)通りの一角の歩道に、ユニークで賑やかな「新聞市場」が開かれる。

 20人余りの人々が歩道に座り込み、その日に刷られた新聞を急いで整理して仕分けする。ここで新聞を分配し、市内の新聞の小売店や公的機関・組織などに配達するのだ。

 午前4時10分、重さ1tを超える新聞を積んだ輸送業者のトラックが、ディンレー通り17番地にある中央新聞発行社の門の前に停まった。ここは、様々な報道機関が発行する各種新聞が流通前に集まる場所となっている。

 トラックが停車すると、ムオイさん(男性)は手早く新聞の束をトラックから運び出し、他の人たちは仕分けの作業に取り掛かる。

 新聞の輸送トラックを運転して27年になるドゥックさん(男性)によると、この5~7年ほどで紙の新聞の発行部数は大幅に減少したという。かつて、多くの大手新聞社は毎号6万~7万部は刷っていたが、今では半分に減ってしまった。

 新聞の仕分けと配達に従事して5年近くになるトゥアンさん(男性)は、小売店や公的機関、工場などに配達する際に間違いや漏れが生じることのないよう、集中して新聞を正確に仕分けする必要があると話す。

 10年余り前は紙の新聞もまだまだ人気で、1日の発行部数も多かったため、新聞の仕分けと配達の仕事はかなり大変だったが、その分、収入も大きかった。しかし、近年は電子新聞が急速に普及したことで、紙の新聞の発行部数は急減し、同時に新聞の仕分けと配達の仕事の収入も減ってしまった。

 「雨が降ろうと風が吹こうと寒かろうと、この仕事は1年中、毎日行います。いつも午前4時に家を出て、7時半ごろに帰宅します」とトゥアンさん。トゥアンさんや同業者たちによると、1か月の収入は300万~400万VND(約1万8300~2万4400円)ほどで、トゥアンさんにとってこの仕事は副収入源となっている。

 ソンさん(男性)はこの仕事を20年以上続けている。ソンさんは、毎朝4時20分にディンレー通り17番地に出勤し、7時ごろに仕事を終える。ソンさんによれば、この仕事は高い集中力に加えて、最新の最もホットな情報を読者に迅速に届けるための機敏さも必要だという。

 「各所に新聞を配達するために、6時までには仕分けを終わらせなければなりません。もし配達の時間が遅くなれば、ラッシュアワーの渋滞に巻き込まれて大変ですし、小売店も新しい新聞を売ることができなくなってしまいますから」とソンさん。ソンさんは、小売店や公的機関・組織などのすべての配達先に、個別の番号を割り振って管理している。

 「10年余り前、紙の新聞は毎号4万~7万部刷られていたので、我々の収入も安定していました。でも今や、発行部数が安定しているのはニャンザン(Nhan Dan=人民)紙やハノイモイ(Hanoimoi=新しいハノイ)紙など一部の新聞社のみで、他社は発行部数を大きく減らしたり、発行を停止したりしています」とソンさんは語る。

 リエンさん(女性)は、配達の間違いや漏れのないよう、配達先ごとに慎重にラベルを貼り、梱包していく。リエンさんは、「年を取って、もう若い人ほど記憶力が良くないので、間違えないように配達先ごとに1つ1つラベルを貼らないといけないんです」と話す。

 仕分けを終えたハーさん(男性)は、新聞を購読している行政機関に午前7時までに配達すべく、ディンレー通りを急いで出発した。 

[Dan Tri 06:21 13/03/2024, A]
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved.


このサイトにおける情報やその他のデータは、あくまでも利用者の私的利用のみのために提供されているものであって、取引など商用目的のために提供されているものではありません。弊サイトは、こうした情報やデータの誤謬や遅延、或いは、こうした情報やデータに依拠してなされた如何なる行為についても、何らの責任も負うものではありません。

印刷する | ウィンドウを閉じる