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[特集]

韓国に嫁いだベトナム人花嫁の「最期」の手紙

2007/08/26 08:37 JST更新

 韓国人男性と結婚したベトナム人女性フィン・マイさん(20歳)の惨殺死体が自宅で発見された。ろっ骨を18カ所も骨折しており、発見時には死後8日間が経過していたという。今月9日に韓国のテレビで報じられたこのニュースは多くの人々を驚かせた。  マイさんが韓国での生活について5枚にわたってつづった手紙が、韓国のインターネットニュースサイト「オーマイニュース」上で公開されている。「いい妻に、いい母になろうと頑張った。あなたともコミュニケーションをとろうと努力した。それなのにどうして私のことに関心を持ってくれないの? 温かい家庭を築きたい、そんなささやかな夢はかなえられなかった」。手紙からは韓国語が話せなかった彼女の憤りが感じられる。  彼女はさらにこう続けている。「ベトナムに帰らせてくれるなら、あなたを許すわ」。夫との不和のため、韓国に来てたった2カ月で彼女はベトナムへ帰りたがっていた。その手紙を書いたすぐ後に夫に殺されるとは想像すらしなかっただろう。「韓国へ来てあなたには失望した。ここでの生活については知らないことだらけで、私が苦しんでいても理由を聞こうともしなかった。苦しい時には助け合うのが夫婦なのに、あなたは私を責め立てるばかり。つらいことがあって相談したくても、家に帰ってきたときあなたはいつも不機嫌そうだった」  彼女はこうも書いている。「あなたが不機嫌そうな理由だって聞きたかった。私のほうが年下とはいっても、夫婦なのだから助け合うのが当然でしょう?」。結婚する前、彼女は水産会社や陶器工場などで働いていた。「ベトナムにいたころは、生活は厳しかったけれどなんとかやっていけるだけのお金は稼いでいた。韓国でも私が勤めに出ることぐらいせめて理解してほしい。本当はベトナムに帰って両親の面倒をみたいのだけど」  手紙は殺される前日に書かれたもので、引き出しの中にはいっていた。彼女のパスポートは引き裂かれてゴミ箱に捨てられていた。外国人支援センター長のキム・キ・シュー氏は「相談してくれてさえいれば、こんなことにはならなかっただろう」と語る。彼女の場合、結婚を仲介した会社が倒産していたため、誰にも相談できなかったものと思われる。地元の市は相談センターを設置しているが、彼女のようにその存在を知らない人は多い。  「若い妻と年長の夫の夫婦の場合に、こうした問題は起きやすい。お互い相手を理解できず、妻は帰国したいと思うようになる。しかし離婚すれば頼る場所も無いので、妻はどうすることもできない」とキム氏は説明する。  夫は5日に逮捕された。事件当時、妻からベトナムに帰りたいと要求されたことに逆上して殺害に至ったという。殺さないまでも、虐待や一方的な離婚、家から追い出すなどのケースは昨今増えてきている。今回の悲しい事件は韓国に渡って花嫁になることを夢見るベトナム人女性たちに警鐘を鳴らすものとなるだろう。  

[2007年8月13日 Tuoi Tre紙 電子版]
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